日野自動車が国内のトラック販売価格を値上げ、他社も追随か

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日野自動車が国内のトラック販売価格を値上げ、他社も追随か

日野自動車が、7月1日より日本国内で販売するトラック・バス全車種の価格を引き上げる。値上げ率は車種に応じて小売価格の1.9%~3%程度で、05年以降に鋼材、稀少金属等のコストが上昇した分の半額を販売価格に転嫁するという。「原材料がかつてない高騰を続けており、もはや価格改定はやむを得ない」と日野自動車は説明する。

すでにトラック各社は、アジア、中近東などへの輸出向け車両については07年より製品値上げを実施していた。国内向けについてもここ1カ月前後、値上げの憶測が流れていたが、今回、普通トラックシェアで国内首位の日野自動車がその先鞭を切った形だ。

また、日野自動車に続けて業界4位の日産ディーゼルが7月1日に普通トラック全車種の値上げを発表したほか、業界3位の三菱ふそうも「値上げ幅と時期については数週間以内で決定する」(三菱ふそうトラック・バスのハラルド・ブルストラー社長)と追随の方針を鮮明にしている。一方で、国内シェア2位のいすゞ自動車<7202>は慎重な姿勢だ。「運送業者の苦境を考えると、本当に可能か、十分に検討しなければならない」(いすゞ自動車)。

日野自動車の今回の値上げによる利益影響額については、前期の国内商用車販売額から推計すると、年間約80億円になると予想される。今2008年3月期で考えると、3カ月経過した7月1日からの実施なので、60億円程度の影響額(営業増益要因)となろう。しかし、「今回の値上げ実施は100%に近い形で今期業績予想に織り込み済み」と日野自動車は話す。このため、会社側の予想数字を採用している「東洋経済オンライン」も、本件に際しては特段の変更を加えることはしない。

むしろ、日野自動車と並ぶトラックメーカーの上場企業として、「東洋経済オンライン」はいすゞ自動車の動向に注目している。いすゞ自動車は期初の業績予想において国内の車両価格値上げ額を織り込んでおらず、もし日野自動車と同じく3%程度の値上げが実施されれば、年間110億円程度の増益サプライズが発生すると予想される。今は値上げに慎重な姿勢を崩してはいないが、競合他社の値上げが次々と実施されている今、いすゞ自動車も静観することはできないだろう。

【西澤 佑介記者】


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2008.03  1,368,633 45,889 41,035 22,178
連本2009.03予 1,420,000 46,000 42,000 22,000
連本2010.03予 1,460,000 50,000 49,000 25,000
連中2007.09  660,956 24,721 23,484 12,282
連中2008.09予 690,000 18,000 16,000 8,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2008.03  38.7 10 
連本2009.03予 38.3 10 
連本2010.03予 43.6 10 
連中2007.09  21.4 5 
連中2008.09予 13.9 5 

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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