安倍政権はオバマ政権の「励まし」の下、第2次世界大戦に関する歴史的問題をめぐる韓国との緊張関係を克服しようと、より親密な関係を築こうとしてきた。日米韓の3カ国は情報共有について合意しただけでなく、拡大する北朝鮮の脅威に対抗するために協議を重ねるなど互いに協力している。生き残った韓国の慰安婦に援助を提供し、安倍首相による謝罪声明文を出すという2015年12月の合意は、日韓(そして米国)の和解と協力を促進するための重要なステップであった。
歴史的和解ということでは、オバマ大統領による広島訪問と、それに続く昨年12月の安倍首相による真珠湾攻撃の被害者の記念碑への訪問は、「深いレベル」での同盟関係を反映している。
安倍政権はまた、ロシアとの関係改善にも尽力してきた。安倍首相は、戦争終結後に発生する領土紛争の歴史的な解決とロシアとの平和条約締結という目標をあきらめていない。これは依然として難しい課題であることは確かだ。オバマ政権はウクライナ危機後、日本が米国と欧州とともに行っている経済制裁を解除する可能性を懸念して、日本とロシアの接近を阻止しようとしていた。もっともこれは短絡的な考え方だ。それよりは、日本によるこうした試みが、中国とロシアの協力関係を弱める効果があることのほうが大きい。
日本は予測可能性を備えた成熟社会だ
今日本では、これまで例がないような安定した政権運営が行われている。自民党率いる連立与党は、安倍首相を中心に4年以上継続しており、国会で支配的な地位を築いている。保守政策が継続的に行われるという見通しと、長期にわたって安倍首相が在任しているという事実は、国家の将来の方向性に関する政治的な合意がなされていることを反映している。政治的に不安定な状態にある韓国とは対照的に、日本は今日の先進国ではめったにない、予測可能性を備えた成熟社会であるといえる。
こうした前向きな側面がある一方、米国の政策立案者たちが懸念していることもある。たとえば、治安に関していえば、東シナ海、特に尖閣諸島周辺で、日中の緊張が高まる危険性は消えていない。存在感を増している中国の海軍や空軍に、日本が対抗することによって、偶発的な衝突が発生する可能性もある。米国はこの地域の動きを注意深く見守り、日本による危機管理の継続的な取り組みを促す必要がある。
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