米国企業の重しになる、中国経済の減速 次なる期待は中間層の拡大

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厳しい見通し

ケンタッキーフライドチキン(KFC)を運営するヤム・ブランズが先週発表した四半期決算は15%の減益。KFCの中国販売が昨年12月以降、落ち込んでいることが響いた。

ヤム・ブランズの中国売上高比率は51%と、2010年の34%から急上昇している。

インテルの中国売上高比率は16%。同社もパソコン販売の低迷と中国の景気減速に対応するため、通期の売上高予想を下方修正。設備投資の縮小も決めた。

半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)の中国売上高比率は58%に達する。2010年時点は45%。四半期決算の1株損益は0.09ドルの赤字だったが、プレスリリースで中国への言及はなかった。

ソシエテ・ジェネラルは、中国の経済成長率が2020年までに4─5%に低下する可能性があるとの見方を示している。

中間層に照準

中国政府は、現在人口の40─41%を占める中間層を2020年までに45%程度に拡大する計画を掲げており、一部のアナリストは、企業がこうした中間層をターゲットにすれば、中国売上高は着実に伸びると予想している。

ウィリアム・ブレア(ニューヨーク)のアナリスト、ニコラス・ヘイマン氏は、複合企業ユナイテッド・テクノロジーズ傘下のオーチス・エレベーターが、中国で順調に事業を拡大していると指摘。中国ではエレベーターの需要が供給を上回っているという。

飲料メーカーも、拡大する中間層に期待を寄せている。

コカコーラのムーター・ケント最高経営責任者(CEO)は今週、「中国の長期見通しに非常に強気だ」と発言。中国は巨大消費市場であり、新たな中間層の勢いはすさまじいとの見方を示した。

ただ、欧州経済の低迷が長引き、米国内の景気回復の足取りも重い中で、中国経済が減速しているのは、企業にとって痛手だ。

調査会社ランゲンバーグ(シカゴ)の創業者ブライアン・ランゲンバーグ氏は「中国は、工業分野のあらゆる企業に影響を及ぼす。機械メーカーは、総じて景気に敏感であり、不安定で、負債比率が高くなる傾向がある」と指摘。

「キャタピラーは、在庫が適切な水準に戻りつつあると言うかもしれないが、株価の見通しは、中国の潜在的な成長率をどう予想するかに左右される」と述べた。

キャタピラーはすでに通期の業績予想を下方修正。来週、新たな予想を示す可能性もあるが、鉱山向けのトラック、ローダーの売上高が50%減少するとの見通しを示している。

ノースウエスタン・バンク(ミシガン州)のバイスプレジデント、ペリー・アダムズ氏は「インフラ分野、建機のキャタピラー、ジョイ・グローバルなどが打撃を受けている。他の企業に波及する可能性もあるだろう。この四半期は、そうした傾向が表面化するのではないか」と述べた。

(Angela Moon記者;翻訳 深滝壱哉 編集 宮崎亜巳)

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