パナソニックのトイレが急成長を遂げたワケ 有機ガラス製「アラウーノ」のハイテク構造

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パナソニック エコソリューションズ社でトイレ商品企画課の課長を務める坂本 剛さん。アラウーノ開発の企画が立ち上がった2004年から事業に携わっています

陶器のトイレには、実は2つのデメリットがあります。ひとつは、表面に水アカがこびりつきやすく、落とすにはアルカリ洗剤や研磨ブラシを使わなければならないなど、メンテナンスにおいてユーザーに負担を強いる点。もうひとつは、生産に職人による熟練の技術を要するため、クオリティを維持するのが難しい点です。これらを解消する新素材として、パナソニックが採用したのが有機ガラスでした。 

「有機ガラス系素材は水を弾くため、表面に汚れが固着しにくいのがメリット。ヒビが入ったりキズが付いたりすることも少ないです。そして、陶器との一番の違いは、金型を使っての製造が可能であること。“焼き物”である陶器に比べてはるかに成型の自由度が高く、コンマ数ミリ単位の高精度な調整も可能です。パナソニックがこれまで家電事業で培ってきた技術を、いかんなく発揮することができる素材でした」(坂本さん)

独自のスパイラル水流や、つなぎ目やスキマを排除した構造など、汚れにくく掃除しやすい工夫が凝らされています。いずれも新素材だからこそ実現可能となりました

一般の主婦の声から最も重要なものを再認識する

アラウーノのプロジェクトがスタートしたのは、2004年のこと。第1弾モデルの発売は06年なので、開発には約2年をかけたことになります。その開発期間から見てもわかる通り、勝手のわからない「新素材」ならではの苦労も多くあったと、坂本さんは振り返ります。

「それまで陶器のトイレしか作っていませんでしたので、陶器に少なからずこだわりを持っていたスタッフもおりました。そんななか、一般の主婦をモニターとして集めてマーケティングを行った際に『へー、トイレって陶器なんですね』という声を聞いて、いい意味で力が抜けたといいますか(笑)。素材うんぬんはさておいて、清潔さを保てる構造が最も重要であることを再認識しました。初期の試作モデルはとても使い物にならないようなクオリティでしたが、およそ2年の研究・開発を経て、ようやく発売することができました」(坂本さん)

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