役に立つ!学校では教えてくれない検算法 瞬時に検算できますか?

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ちなみに、はじめの例の「929+361+9399」では、左辺の残った数2、1、3をたしました。一方、今回の「499×599」では、「4×5=20」のように、左辺の残った数をかけました。このように、残った数を、たし算なら「たす」、引き算なら「引く」、かけ算なら「かける」ようにすることがポイントです。

特にかけ算は再計算するのにかなり時間がかかってしまうため、九去法を知っていれば検算の時間がかなり短縮されるでしょう。

さて、今までの例では、「9と0」や「たして9になる数」を消しましたが、これらの数が含まれない場合も、もちろん検算できます。「537×691=372067」という計算を例にして検算してみましょう。

まず、左辺の537には、「9と0」や「たして9になる数」はありません。このような場合は、「各位の数をたして」5+3+7=15とします。そして、「1ケタになるまでたす」ので、1+5=6とします。

次に、691から9を取り去ると、61となり、各位の数をたして、6+1=7とします。

そして、残った6と7をかけると、6×7=42となり、各位の数をたして4+2=6とします。この6を覚えておいてください。

答えの372067から、「0」と「たして9になる数」を消すと、7が残ります。この7と、先ほど覚えた6が一致しないので、この計算も「間違い」だとわかります。

この計算の正しい答えは「371067」です。「0」と「たして9になる数」を消すと、7、1、7が残ります。それらをたすと15。この十の位と一の位をたすと、1+5=6。左辺の数字6と右辺の数字6が一致するので、この計算式は正しいということになります。

九去法は「ミスをあぶり出す」ためのもの

『小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる問題集』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

実は、九去法も万能ではなく、弱点があります。それは、計算の答えが間違っているときにも、9分の1の確率で「正しい」と判定してしまうことです。

ですが、計算結果が「正しい」ときに、「間違い」だと判定することはありません。また、九去法で両辺に残った数が一致しないときは、その計算結果は100%「間違い」だといえます。ですから、「計算ミスを素早くあぶりだす手段」としては大いに役に立つといえるでしょう。

テストにおいて、すべてをじっくり再計算できる時間が残っていればいいのですが、そうでないときは、九去法でスピーディに間違いを見つけるのも有効です。

たった1問のミスの修正が合格につながることもあります。いろいろな検算法を知り、あらゆる角度からチェックすることを心がけてみてください。

以上、学校では習わない“九去法”についてご紹介しました。「こんな方法があったのか!」と驚かれた方もいるのではないでしょうか。

算数や数学を日々頑張っている学生や受験生はもちろん、ビジネスパーソンの方も、仕事や日々の生活の中で役立ててみてください。

(構成:山岸美夕紀)
 

小杉 拓也 東大卒算数・数学プロ講師、志進ゼミナール塾長

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こすぎ たくや / Takuya Kosugi

東大卒算数・数学プロ講師、志進ゼミナール塾長。東大在学時から、プロ家庭教師、SAPIXグループの個別指導塾などで指導経験を積み、常にキャンセル待ちの人気講師として活躍。現在は、自身で立ち上げた中学・高校受験の個別指導塾「志進ゼミナール」で生徒の指導を行う。毎年難関校に合格者を輩出。指導教科は小学校と中学校の全科目で、暗算法の開発や研究にも力を入れている。数学が苦手な生徒の偏差値を18上げて、難関高校(偏差値60台)に合格させるなど、成績を飛躍的に伸ばす手腕に定評がある。おもな著書に、『小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』や、『中学校3年間の数学が1冊でしっかりわかる本』(ともにかんき出版)などがある。
 

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