ここで、まとめに入ります。“食べる順だけ”ダイエット法は、一見すると単純で浅い印象を与えがち。しかし、実態は逆です。実によく考え抜かれた方法なのです。次のように打ち手が連なることで、高いダイエット効果を生み出しているのです。
(打ち手①)野菜から先に食べるから脂肪がつきづらい。だから太らない。
(打ち手②)打ち手①の前提と諭して、ゆっくり食べさせる。
すると結果的に食べる量が減る。だからやせる。
(打ち手③)打ち手②で量が減るのは、最後に食べる炭水化物。
炭水化物は「糖質」の塊。糖質の摂取が減るからやせる。
この“食べる順だけ”法は、従来のダイエット法のようなカロリー制限や(糖質制限を含む)栄養バランスの調整を前面に打ち出していませんが、結果的にそうなるのです。しかも、誰もが無理せず実践できるシンプルさも兼ね備えています。ここに、このダイエット法の真価があると思うのです。
これまでの「常識」を覆す説得力をもっていることも、見逃せないポイントでしょう。常識的には、炭水化物であるゴハンが主食。それを食べるためにオカズ(肉や魚などのたんぱく質)があり、添え物として漬け物(野菜)というのが日本の食卓における位置づけです。そうした中、多くの人が学校給食で「三角食べ」をたたき込まれたことでしょう。だから、ゴハンをメインに食べつつ、オカズや添え物を同時に食べるというのが、これまでの日本の常識なのです。
もともと、この“食べる順番だけ”は糖尿病の治療現場から生み出されました。考案者の梶山靜夫先生は、ある偶然の出来事から「食べる順番」に着目し、10年以上の試行錯誤を経て、この方法を洗練されたものに仕立て上げました。こうした医療上の熱意と科学的な正当性をもって、これまでの「常識」のぶ厚い壁に風穴を開けるところに、私は中学生時代と同じオタク心を刺激されたのだと思います。
2010年、梶山先生は栄養の専門家である今井佐恵子先生と共同で論文を発表しました。まず医療の世界で注目され、さらにダイエット効果が明らかになるにつれて、テレビや雑誌などマスコミでも大きく取り上げられるようになりました。しかし、まだまだ十分に知られていないこの方法を、ぜひ皆さまにも知っていただきたいと思います。
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