地下鉄を便利にする「東京メトロ」次の一手 ベンチャー企業から新たなアイデアを大募集

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コーディネーターにしてみれば、自分が担当した会社を入賞させたいと考えるのが人情だろう。何度もスタートアップ企業と面談してアドバイスをしたり、実証実験に関わりそうな部署にヒアリングをしたり、書類に赤入れをしたり、コーディネーターの熱意はかなりのものだったようだ。12月5日二次審査、12月15日に最終審査が行われた。

最終審査に残ったのは6社。通過するのは3社だ。当日の最終審査は、プレゼンテーション形式。各コーディネーターが、自分の思いも含めて、担当企業を紹介するというスタイルでスタートした。

ITを使って「駅での困った」を解決

2016年12月15日に行なわれた「Tokyo Metro ACCELERATOR 2016」最終審査会の授賞式(撮影:尾形文繁)

最終審査通過企業の提案の半数は、「駅での困った」をITによって解決しようというものだった。

たとえば、プログレス・テクノロジー株式会社は、ITを使った視覚障害者用のナビゲーションシステムを提案した。6年間で428件も視覚障害者の事故が発生していることが提案のきっかけだ。地下ではGPSが届かないので、「ビーコン(発信機)」を使って、「目の前に柱があります」「左手が改札口です」といった周辺情報を、スマホを通じて音声で伝える。ただし、イヤフォンで耳をふさぐと危ないので、骨伝導の仕組みを使うという。

ナビゲーションシステムは、すでにロンドンの地下鉄で実施されており、そのノウハウはシドニーの地下鉄にも導入された。当面は、そのノウハウを導入し、将来的にはカメラを組み込んだメガネを使った画像認識の機能も加えたいという。それによって「混雑している」とか「そのまま進むと顔をぶつける」といった目の前の情報がわかるわけだ。こうしたシステムが導入されれば、視覚障害者にとって駅は飛躍的に安全で便利になる。

訪日外国人客にとって、「駅での困った」は言葉の壁だろう。オリンピックが開催される2020年には4000万人の外国人が訪れると予測されるが、あと3年で日本人の語学力が飛躍的に向上するとは思えない。株式会社ログバーが提案したのは音声翻訳デバイス「ili(イリー)」。インターネットを介さない音声翻訳デバイスだ。訪日外国人が「ili(イリー)」を使えば、言語の壁を感じることなく自由に旅ができるわけだ。

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