結局「インターンシップ」は就活に有利なのか 丸紅が5泊6日の超過酷インターンを行う理由

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2016年2月下旬。本社近くのホテルの1室に、50名の精鋭が集まった。輝くシャンデリアの下でリクルートスーツに身を包んだ学生たちは、「サッカーのインターハイで優勝しました」「大学に通いながら会社経営をしています」などと、誇らしげに自己紹介をした。まさにスーパーエリートたちだ。

勝ち抜けば役員の前でプレゼンできる!

5日間のインターンで学生たちに与えられた課題は、丸紅の事業分野である「生活産業」「エネルギー・金属」「電力・プラント」「輸送機」「素材」のどれかで新しいビジネスプランを考えること。5人ずつ10チームに分かれ、インターン最大の山場、5日目のプラン発表に向けて準備をすることになる。この発表は、各事業部営業グループの部長クラスが聞き、上位3チームが選ばれる。その3チームは、さらに役員クラスにプレゼンテーションする権利がもらえる。

今回就活探偵が密着したのは、その中の「素材グループB」。彼らの課題は、丸紅が実際に行っている肥料事業において、新規ビジネスを考えることだ。5つの国の中から1国を選び、事業の参画形態を考える。いったい、どのような5日間になるのだろうか。

インターン生の朝は、宿泊先である多摩センター研修所(東京・八王子市)から約1時間半かけて、通勤ラッシュにもまれながら大手町の本社(現在は日本橋に移転)に通うことから始まる。

“出社”してからも、1日中部屋に篭もって議論していればいいわけではない。朝から晩まで、スケジュールはびっしりと詰まっている。インターン開始から3日目ともなると、精鋭たちの顔にもさすがに疲労感がにじんできた。初日にはついていなかったスーツのシワが、それを物語る。「昨夜は夜中の2時くらいまで作業をしていた。朝は6時起きだ」。そういう人事部の安田洋介さんも疲れを隠せない様子。初日はヘアワックスできっちり整えられていた髪が乱れていた。

その日のメンバーは、課題に対する仮説を裏付けるために、1日で社内の6部門を訪ね、質問をしてまわった。訪問先の1つ、本社付属の経済研究所では、ハリウッドスターのような金髪の外国人社員が登場して、学生たちの質問に応じてくれた。もちろん、やり取りは英語だ。

続いて訪ねた財務部でも、試練が待ち受けていた。部内では、「IRR(内部収益率)」や「PL(損益計算書)」といった会計の専門用語が飛び交う。学生は必死にメモを取ろうとするものの、耳慣れない言葉にだんだん手の動きは鈍くなっていく。最後の部門を訪問し終えたころには、全員ぐったりとしていた。

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