統合による一貫体制確立が奏功、米国原発建設にもノウハウ供与−−東芝プラントシステム・石井哲男社長
2004年1月に東芝プラント建設と東芝エンジニアリングが合併して新スタートを切った、東芝プラントシステムが順調に業績を伸ばしている。日立製作所グループのインフラ建設部門を統合した日立プラントテクノロジーが前期大幅赤字に陥り、早期退職募集を余儀なくされたのとは対照的だ。東芝プラントシステムの「好調の秘密」は何か。石井哲男社長に聞いた。
--前期も期初予想は4割減益だったが、締めてみれば2割増益となった。
一言で言えば、統合で作り出したビジネスモデルの効果が出ている。東芝の設計・現地調整を担う東芝エンジニアリング、据え付け工事を担当する東芝プラント建設の2社が合併し、エンジニアリングから現地調整まで一貫して行える体制が整った。調整とは据え付けた後、正常に動くか確認・調整する作業だが、その連携がスムーズになった。設計も、従来は東芝本体、東芝エンジニアリング、東芝プラント建設の3社が分担していた。合併によって東芝は基本設計、詳細設計は当社、という形にすっきりした。設計段階から、据え付けがやりやすい設計、調整がやりやすい設計を展開できるようになり、ひいては顧客にもメリットを還元できる。電力・原子力だけでなく、一般産業向けも「(設計から据え付けまで)全面的にお任せ下さい」とこちらから提案し、受注しやすくなった。
--統合によって人員過剰などの問題は生じなかったのか。
統合前は両社ともやや余剰人員を抱えており、一度、削減した後に合併した。合併後は、国内の電力会社、東芝の半導体工場向けなど仕事量はコンスタントに増えたが、人員は増えていない。今は、むしろ、人が足りない。
--自家発電向けタービンでJFEと提携したが。
自家発電用の30万キロワット以下のタービンは当社が基本設計から担当することになり、東芝から設計・営業の人員も引き取った。JFEとの提携はタービンの品揃えを充実するため。製品の多くは東芝から調達しているが、10万キロワット以下のタービンはJFEからも購入する。顧客は当社のタービンを「東芝と一体」と見ており、海外からの引き合いも増えている。07年度は国内のタービン受注がピークに達し、08年度は端境期になるが、09年度からは復活する。
自家発用タービンのように自ら基本設計も営業も担当する事業を「自販事業」と呼んでいるが、現在、自販事業と東芝経由の仕事は50対50。自販事業としては、タービンのほかに、工場の上流から下流まで一貫して請け負う総合設備事業を拡大する。ここに建設、IT関係の人員を100人投入する。
東芝経由の仕事でも、ここは当社がやった方が合理性がある、という部分については積極的に取り込んでいきたいと考えている。
--東芝が米国で原発受注を拡大している。これにどう関与していくのか。
米国での現地工事はフルアー、ショー・グループなどが主力になると思うが、彼らはここ30年間、原発を作った経験がない。今、国内での当社の工期は48カ月だ。そういう当社の実績、ノウハウを供与することで、工期を保証していく。そこに活躍の場が出てくる。具体的にどうやるかはこれからだが、原発の輸出専門部隊も作り、すでに社員を米国に派遣している。
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