2017年、世界情勢はどこまで「悪化」するのか 英国EU離脱やトランプ当選以上の「事件」も?
ロシアの駐トルコ大使が12月19日に殺害された事件について、第1次大戦のきっかけとなった1914年のオーストリア皇太子暗殺になぞらえる見方があるが、大きな戦争には繋がらないだろう。
だが、その数時間後にベルリンのトラック突入で12人が死亡した事件は、欧州に政治的な衝撃を引き起こすかもしれない。
予想外の出来事や驚きが相次いだ今年も、暮れていこうとしている。ベルリンの壁が崩壊した1989年は、グローバリゼーションや自由主義、西洋の近代観が勝利した年だったが、2016年はこうした流れが逆転し始めた年だとも考えられる。
ベルリン襲撃事件の余波
こういった表現は行き過ぎかもしれない。だが、英国民投票でのEU(欧州連合)離脱派の勝利や、米大統領選でのトランプ氏当選など、今年起きた数多くの事例は、世界的な調和の崩壊をうかがわせた。来年になって事態が沈静化するか、あるいは流動化が加速するのかは、五分五分と言ったところだ。
ベルリンの襲撃事件でメルケル首相の移民政策への批判が強まるのは避けられない。来年のドイツ総選挙でそうなる可能性は低いが、将来は極右が台頭するかもしれない。また、この事件は、2017年のフランス大統領選で、極右政党の国民戦線のルペン党首への追い風となるだろう。
今年はオーストリア大統領選で極右が敗北するなど、リベラル派も一定の力を示した。しかし、以前ならば考えられなかったことが起こり得る可能性があると実証された年でもあった。