独自調査、痴漢検挙の82%が鉄道内だった! 情報開示でわかった車内・駅での被害実態
開示されたデータは、各警察署が事件ごとに作成したA4用紙一枚の「事件捜査等結果報告書」がもとになっている。
同報告書には、被疑者と被害者の氏名や住所、事件の概要、捜査の経過、押収品や余罪の有無などの項目があり、罪名・罰条という欄には、一部で神奈川県や埼玉県の迷惑防止条例違反の記述が見られ、都県をまたいで違反行為が発生していることがわかる。
しかし、同報告書は、警察内の事務手続きに関する部分以外、ほぼ全面的に墨塗りされ、何が書かれているのかまったくわからないようになっていた。警視庁によると、路線名や駅名といった発生場所は、墨塗りされた「事件の概要」の欄に書かれているという。鉄道利用者にとって、身の安全を図る上で必要な情報が隠されているのだ。
ところが、警視庁は2005年2月、痴漢行為や盗撮といった迷惑防止条例違反の検挙数が多い路線名を、みずから公表したことがあった。当時の報道によると、1位のJR埼京線と2位の中央線がダントツに多く、3位以下は総武線、京王線、山手線などが入った。背景には、東京都と警視庁が鉄道事業者に対し、女性専用車両の導入拡大を要請したことがあるという。
また、警察庁も、2011年3月にまとめた「電車内の痴漢撲滅に向けた取組みに関する報告書」で、検挙数が多かった路線はJR埼京線、中央線、京王線、東海道線、小田急線、東急田園都市線、総武線だったことに触れている。
一部府県の警察は発生場所を公表している
さらに、一部府県の警察は、登録者向けにメール配信する防犯情報で、違反行為の発生を場所を明示して知らせることがある。最近では、以下のような情報が実際に配信されている。
このように、路線名や駅名は公開可能な情報ということだ。違反行為があったすべての路線名と駅名の集計結果が公表されるようになれば、鉄道利用者の安全向上に役立つのはもちろん、対策を進める上でも有効なはずだ。全国の警察と鉄道事業者は、ぜひとも公表を検討してもらいたい。
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