実は57万人もいる「401k難民」とは何なのか 「個人型DC」を正確に知るための基礎知識
自動移換者は、きちんと手続き踏んでさえいれば、加入者あるいは運用指図者になるはずだった。このような「無関心」を放置してきたことが、個人型DCの普及を阻害する隠れた要因といえるだろう。
401k難民(自動移換者)には着実にデメリットが発生する。自動移換されてしまうと、①掛金の積み立てができず所得控除の税制メリットを享受できなくなる、②資産運用ができなくなる、③月額51円(年間612円)の手数料が年金資産から差し引かれ続ける、など、移換対象者本人にとってさまざまな不都合が生じるのだ。
なお、自動移換者が個人型DCに加入するには、窓口となる受付金融機関から申込書類を入手し手続きをすればよい。コールセンターで事情を話せば気軽に応じてくれる。
401k難民(自動移換者)は個人型DCの"最大派閥"
それにしても、なぜこのような事態が生じているのだろうか。それは、前述の自動移換の仕組み自体が、あまりにも知られていないためだ。自動移換されないためには、移換対象者が自ら手続きを行う必要がある。その必要性を知る契機としてまず考えられるのは、転職・退職の際に、勤務先から案内を受ける時点であろう。しかし、退職時にさまざまな手続きを行う必要がある中で、DC資産の移換手続きはおざなりにされてしまうことが多い。また、DC資産の移換手続きに言及することは、退職して社外に出る者の今後の老後資産形成に対し、いわば「口を挟む」形となるため、企業としても対応し難いという事情も垣間見える。
しかし、企業だけに問題があるとは一概には言い切れない。企業型DCでは、「運営管理機関」と呼ばれる金融機関がその運営を実質的に担っている。金融機関がサービスの一環として、個人型DCへの移換手続きを積極的に周知することが必要である。しかし、どうやら金融機関側にも積極的な周知には及び腰とならざるを得ない「事情」があるようだ。
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