伊豆に「豪華観光列車」を投入する東急の思惑 「水戸岡デザイン」は社長の希望だった!
インテリアのデザインについては「床も壁も天井も可能な限り木を使い、森の中にいるような感じになるよう考えている」(水戸岡氏)。ロイヤルブルーに金のラインという外観とともに、クラシックなイメージの室内に仕上がる予定だ。
伊豆急といえば海沿いを走る路線のイメージだが、水戸岡氏がデザインの上で意識したのは眺望性ではなく、むしろ逆に「海が見えなくても心地いい旅ができる車両」だという。実際、伊豆急線は険しい地形のためトンネルが多く、海が見える区間は決して多くない。「海が見えるのは一瞬。だから中をしっかりデザインして、車内を楽しんでもらう」という発想だ。
多くの人に理解される心地よい空間を
水戸岡氏は、地域に密着した観光列車だからといって、デザインに地域性を反映することは特に考えないという。「それよりも、その地域を十分に再認識できるような心地よい空間をつくることが大事」との考えからだ。
そのために重要なのは、世界の多くの人に理解され、納得される普遍的なデザインだ。結果として、クラシックなデザインの車両が生まれるのだという。「観光地でせっかくなら老舗のレストランに行きたいという人が多いように、多くの人は長い歴史や伝統、文化を感じるところを心地よく感じる。音楽だってクラシックを聴く人が多いじゃないですか」と水戸岡氏はいう。
運行開始にあたっては、発着駅となる横浜駅に乗客専用ラウンジを併設したカフェを新設。伊豆急下田駅とロープウェイで結ばれている寝姿山山頂の店舗も改装するが、これらのデザインも水戸岡氏が手がける。さらに、バイオリニストの大迫淳英氏によるオリジナルのテーマ曲もつくられた。
念願だったというマルチスペースをはじめ「これまでできなかったことがいっぱい入っている」というザ・ロイヤルエクスプレスは「水戸岡デザイン」の集大成的な列車となりそうだ。
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