慶應幼稚舎出身女子がNY高男に振られたワケ 東京カレンダー「慶應内格差」<5>

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「普通部なんてそれ以上でもそれ以下でもない。いい人は多いけど、パッとしない。その名の通り、”普通”の人しかいないじゃん。それより、ケントの方が刺激的でいいと思うなあ。彼、NY高のリーダー格の子でしょ?仕事もすっごくできるって聞いたよ!」。

「センスもいいし、デート相手としては最高なんじゃない?俺たちNY高!ノリが唯一の難点だけど…」と、沙羅も栞に同意した。「そうなの。NY高のコミュニティにも積極的に紹介してくれるんだけど、それが少し負担で…。でも相手のために頑張るって初めてのことで、もしかしたら好きかもって」。

「早希子が自分から好きになるって初めてじゃない?とりあえず、アタックしてみなよ」と栞が締めくくって3人旅で見えた結末。早希子はその名の通り、普通部男子ではなく、派手で刺激的なNY高男を選ぶことにした。

早希子ちゃんっていい子だけど・・・

NY高メンバーの誕生日会でいつものように集まる土曜日の夜。早希子も誘ったけど、その週末は沖縄だと断られた。お上品すぎる早希子の評判は、NY高女子内ではよくないらしい。ハイテンションな輪に馴染めていないのは薄々気づいてたけど。

早希子が登場しない今日はここぞとばかりにNY高女子が騒ぎ出す。

「早希子ちゃんっていい子だけど、箱入り娘が出てきましたって感じで、つまらないよね」

「八方美人っぽいというか、わたし純粋ですって感じが好きじゃないわ〜」

「てかさ、親の会社で秘書してるっていうのも、どうなの?一人じゃ生きていけません、って感じ」

「幼稚舎の女の子って何でも許されるよね。天然で、無邪気で、守りたくなるけど、いけすかない」

辛辣なご意見。だけど的を得ているからケントは何も言い返せない。NY高の集まりに呼んだ早希子はいつもニコニコと笑っているが、自分から場を盛り上げたり、気を利かせて動くことは無い。いつも誰かが自分のために何かしてくれるのを待っているだけ。

後日、早希子はケントを呼び出した。「あれからいろいろ考えたんだけど、私ケントくんとお付合いしてみたいの」。早希子がちゃんと自分の気持ちを相手に伝えたのは初めてだった。恥ずかしくてまともにケントの目を見ることもできない。

「ありがとう。でも俺、早希子ちゃんとは付き合えない」

「え…?」

「友達に会わせて気づいた。早希子ちゃんって、なんか物足りないんだよね。見た目はもちろん可愛いし、良い子だと思うんだけど、俺にとってはちょっとつまらないっていうか...」

つまらない。そんなことを言われたは初めてだった。むしろ、自分に面白さなんて求めたことは無かった。もちろん相手から求められたことも。

予想だにしない返事に、早希子は何も言い返せなかった。誠実な”守りの男”普通部の男を捨てて、魅力的な”攻めの男”NY高を選んだ早希子。幼稚舎という温室育ちで何でも自然と手に入れてきた。だけど、幼稚舎と相容れないNY高の存在で思い知らされた。求めてはいけないものも、あるのだと。

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