トヨタ「アルヴェル」高級ミニバン独走のワケ 愚直に貫いた日本流がライバルを圧倒した

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最初に触れたように、アルファード/ヴェルファイアは各界のリーダーにも愛用者が多い。彼らの多くは輸入車の高級車やスポーツカーも同時に所有しているはずだ。その中でアルファード/ヴェルファイアを選んでいることに注目すべきだろう。日本におけるミニバンの最高峰であると、彼らが認めているからではないだろうか。

セダンやスポーツカーでは、国産車の上を行く輸入車はいくつもある。しかしミニバンはそうではない。すべてにおいて最上を求める彼らの意識の中で、ミニバンのいちばんは国産車なのである。都市内を後席で移動するためにミニバンを利用する彼らにとって重要なのは、高速道路での走行安定性より、広くてくつろげるインテリアであるはずだ。

最上位グレード「エグゼクティブラウンジ」

最上位グレード「エグゼクティブラウンジ」の室内

こうした状況を踏まえて、2015年に発表された現行アルファード/ヴェルファイアは、エクステリアではクロームメッキの使用量をさらに増やし、航空機のビジネスクラスを思わせる至れり尽くせりの後席を持つ最上位グレード「エグゼクティブラウンジ」を用意。

メカニズムではこれまでトーションビームという簡潔な方式を採用していたリアサスペンションを、高級セダンやスポーツカーに多く使われているダブルウィッシュボーン式に一新した。

日本専用車種として認識されているアルファード/ヴェルファイアであるが、近年は中国、台湾、マレーシアなどアジア圏でも販売されている。こうした国々は日本文化が浸透している地域としても知られている。

それはクルマの世界でも同じだ。自動車評論の世界では、とかく欧州を正義と見なしがちだか、ユーザーの側に立てば、これもまたひとつの自動車文化であることを認識する。

欧州車や北米車に影響されず、愚直に日本流を貫いたアルファード/ヴェルファイアの勝利といえる。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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