トヨタ「アルヴェル」高級ミニバン独走のワケ 愚直に貫いた日本流がライバルを圧倒した

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トヨタはその後、兄弟車のグランドハイエース、ボディサイズを5ナンバー枠に収めた「ハイエースレジアス/ツーリングハイエース」を加え、グランビアには派手なフロントグリルを与えるなどの改良も実施したが、販売は低迷した。

理由のひとつに、1997年に登場したエルグランドの存在があった。全長も全幅も3ナンバーサイズの大型ミニバンという基本構成はグランビアと同じだったが、エルグランドは上下2段の派手なフロントグリルを据え、ガソリンエンジンは全車V型6気筒として、格の違いをアピールし、ヒットにつなげた。デビュー翌年にはスポーティグレードのハイウェイスターを追加し、人気に拍車を掛けていた。

トヨタが送り出した、反撃の一手

アルファードは、なんとかしてこの情勢を挽回したいと思ったトヨタが送り出した、反撃の一手だった。デビューは2002年5月22日。なんと前日にエルグランドがモデルチェンジを実施するという、事前に打ち合わせでもしていたかのようなタイミングだった。

しかしながらアルファードは、エルグランドの単なる後追いではなかった。プラットフォームはエスティマと共用とすることで、縦置きエンジン後輪駆動から横置きエンジン前輪駆動ベースに切り替え、車体の軽量化と広い室内を実現した。ガソリンエンジンがV6だけだったエルグランドに対し、安価な直列4気筒モデルを用意することで裾野を広げたことも目を引いた。

ヴェルファイアの運転席

デザインでも、2代目エルグランドはモダンな方向を目指したのに対し、アルファードはクラウンを思わせる大きなフロントグリルやインテリアのウッドパネルで、日本的高級感をストレートに表現していた。これがユーザーに受け、エルグランドとの力関係を逆転することに成功した。

ただしこの時点では、エルグランドのハイウェイスターのようなスポーティグレードはなかった。ヴェルファイアの名前で対抗馬を用意したのは、2008年のモデルチェンジの時だった。

クラウンを思わせる日本的高級車のアルファードに対し、ヴェルファイアは精悍さを強調したデザインとなった。この頃から政治家や芸能人などが、移動のためにこの2車種を使うことが多くなった。そのシーンがテレビに映し出されることで、アルファード/ヴェルファイアの人気はさらに高まっていく。

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