渦中のクックパッド穐田氏が、ついに動いた 不動産サイトにTOB、去就はどうなる?

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では、オウチーノはなぜこのような決断を下したのか。同社の業績は厳しい。柱の不動産ポータルサイトが不振で、2014年12月期、2015年12月期と2期連続減収、最終赤字に転落していた。

また、不動産購入・販売事業を展開していたものの、こちらの事業も良好とは言えない状況だった。10月11日には、子会社がモンゴルの建設業者と結んだ大型アパートメントの買い取り再販契約に関して、オウチーノの連結純資産の2割に相当する約1億6000万円もの債権回収に懸念が浮上している。オウチーノはこの事業から2017年3月をメドに撤退することも発表している。

村田吉隆執行役員は「オウチーノは成長の踊り場を迎えていて、ITプラットフォームとしても脆弱だった」と語る。そのため、同社は今年4月ごろから、ITや不動産関連など親和性のある候補先10数社を回り、資本業務提携について模索してきた。そのような中、8月に穐田氏とオウチーノへの資本参加の可能性などについて面会した。

現時点で穐田氏は、「あくまで投資家」

穐田氏はその後、オウチーノや業界を分析。「インターネットを利用した不動産取引は拡大すると思われ(中略)ユーザー利便性の高いサービスを開発・提供していくことで、当社の企業価値増加に資するのではないかと判断するに至った」(リリースより抜粋)のが、株式取得につながった。穐田氏の役割について、村田CFOは「クックパッドの現任の執行役であり、現時点ではあくまで投資家として出資する形」だと説明する。

オウチーノは井端社長の後任について、「新任代表取締役候補者は決定次第開示する」と発表している。穐田氏および顧問候補者4名は、代表取締役も含めた取締役候補となるのか。会社側は「決定している事項はない」(村田氏)というものの、有力な候補と考えるのが自然だろう。

長期間に渡る沈黙を破り、ついに動いた穐田氏。クックパッドを去り、オウチーノのトップに就任するのか。その去就が注目される。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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