まったく無名な人が本を出版できるカラクリ 重要なのは資格ではなく「役に立つ」実績だ

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私が出版をサポートし、東洋経済オンラインでも記事執筆の実績がある西村優里さんは、『買い物依存症OLの借金返済・貯蓄実践ノート』(合同フォレスト)、『今度こそ「貯められる女」になる67のルール』(大和出版)というおカネに関する書籍を立て続けに出版しています。

彼女は当初、国立の理系大学院を卒業しているキャリアを生かして「リケジョの働き方」をテーマにした本を書きたいと言っていました。しかし、彼女のこれまでの人生の歩みや自分の「強み」「弱み」などを棚卸してもらうと、まったく違う一面が見えてきました。

彼女は、大学時代から買い物依存症になり、洋服やバッグ、エステ、宝石など高額商品をクレジットカードで衝動買いを繰り返す日々を送っていました。社会人になっても浪費をやめられず、返すために借りるという自転車操業の状態に陥り、その結果、借金額が500万円に膨れ上がりました。

その状況下で彼女は「人生を立て直したい」と一念発起。借金の返済に取り組んだ結果、3年で完済しただけでなく、その後は自身の経験から得たおカネの貯まる方法を実践し、かつての借金額と同じ500万円を貯めることに成功したというのです。

彼女のノウハウを出版のテーマに

この話を聞いたとき、私は買い物依存症を克服し、計1000万円以上を貯めた彼女のノウハウは、おカネを貯められない読者の役に立つと思いました。そこで、彼女に「借金返済と貯金のノウハウ」を出版テーマにすることをすすめました。結果は前述のとおり。その企画は見事、出版社の目にとまり、関連する本を2冊出版することになったのです。

出版後、彼女はメディアからの取材依頼が相次ぎ、現在では、「一人でも多くの女性の助けになりたい」という思いから、大手金融機関を辞めて一般社団法人ウーマンフィナンシャルカウンセリング協会を設立し、ファイナンシャルカウンセラーとして活躍しています。

ほかにも私が出版をサポートしているある人は「相続の専門家」として出版を目指していましたが、一部の編集者から、税理士の資格がないことを指摘され、出版をあきらめかけていました。しかし、彼は相続に関するリアルなビジネスできちんと成果を出し、業界でキャリアを積んでいたので、他の編集者から声がかかり、現在、相続をテーマに出版する準備を進めています。

つまり、これまでビジネスに真剣に取り組んできた人であれば、誰もがビジネス書の著者になれる可能性をもっているのです。こんなことを言うと、少しでも出版に関する知識のある方は、「確かに自費出版なら、誰でもすぐに出版できるだろう」と思うかもしれません。ですが、私が伝えたいのは著者自身が製作費をすべて負担する「自費出版」ではありません。著者印税まで出版社からいただける「商業出版」の話です。

次ページでは、どうしたら商業出版できるのか
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