迷走する国交省「ホーム転落防止会議」の実態 業を煮やした視覚障害者団体が立ち上がった

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視覚障害者たちは、係員の指示のもと、白杖で点字ブロックとホーム端の距離感をさぐったり、手でホーム端を触ったりしていた。「以前ホームから転落したことがあります。あっと思ったら、もう線路の上でした」と、体験会に参加した男性が語る。

この体験会では、ホームから転落したときの対処法も学ぶことができる。自力でホームにはい上がることができるか、もしできないならどうやって助けを求めるかといった内容だ。国交省の検討会では、視覚障害者団体から「駅で訓練できる体制にしてほしい」という要望があったが、列車が行き交う駅での訓練は無理がある。鉄建の施設は大いに役立つに違いない。

アポ無しでホームドアの有効性を検証

京急のホームドアを検証する視覚障害者団体の一行(記者撮影)

10月24日には、京浜急行電鉄が三浦海岸駅でマルチ対応ホームドアの実証実験を開始したが、14時に始まった報道公開に視覚障害者の一団がアポ無しで突如現れた。彼らは全日本視覚障害者協議会の山城完治理事ら5人。ホームドアの有効性を検証するのが目的だ。彼らの行動を知らされていなかった京急やメーカーの担当者があっけにとられる中、山城氏らは、白杖や手でホームドアの構造を調べていた。「白杖でホームドアに触れながら歩くと、戸袋の出っ張りが邪魔で歩きにくい」と山城氏は指摘する。

国交省の検討会がスタートして以降も視覚障害者の駅ホーム転落事故は続いている。これ以上、事故を起こしてはいけない。監督官庁である国交省の役割とは、まさにこの点に尽きる。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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