「自動運転で米国横断」、テスラは正気なのか イーロン・マスクの野望はまだまだ尽きない

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――完全自動運転モードによって衝突事故が起こった場合、テスラは何かしらの保証をするのか。

それは主として個人の自動車保険の問題だ。われわれの設計によるダメージがあれば、もちろん責任を取る。しかしエレベーターに閉じ込められたときのことを考えてみよう。(エレベーターの大手メーカーである)オーチスは全世界のエレベーターに対して責任を持っているか?そうではないだろう。

年間120万人もの人が起こしているほかの交通事故と比べ、オートパイロットの事故に関する報道がことさら強調される今の状況を憂慮している。ネガティブな記事によって人々が自動運転車に乗るのをやめてしまったら、それはあなたがたジャーナリストたちが彼らを殺しているということになる。

安全性を示すため、走行データをまず収集

イーロン・マスクCEOは完全自動運転に強い自信を見せた(写真は2014年9月の来日時、撮影:尾形文繁)

――自動運転に関する規制状況についてどう考えているか。米国では州によって基準がばらばらだ。

それはわれわれが述べるべき問題ではなく、規制当局の問題だ。州によって規制が異なるという分断された状況にならないことを望んでいる。ただあくまで世論や当局がどのような形が適切と考えるかが重要になる。

当座はハードウエア搭載車を「シャドーモード」の状態にして完全自動運転機能の検証を行う。シャドーモードでは、ハードウエアを動作させながらも実際に車を動かすことはしない。実際の使用を想定しながら、ソフトウエアが正しく判断して事故を防げたか、あるいは防げなかったかというデータの収集を行う。自動運転の場合のほうがそうでない場合よりも、統計的に有意なレベルで事故率が低くなることを示せるようにする。そうすれば規制当局も懸念を払拭できるだろう。

――製品として発表できるようになると判断するまでに、どのような試験を行ってきたのか。

まずテスラの品質保証チームのエンジニアが、非公開のコースで運転する。その次には、私を含む非常に限られた「第一位顧客」が乗る。そして世界中から1000人の顧客を集めて「早期アクセスプログラム」を行う。テクノロジーに精通しているほか、開発初期のソフトウエアでも構わないような人たちだ。満足できているレベルに達していれば、シャドーモードでの運用を始めるという流れだ。

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