砂上の「丸の内神話」−−オフィスバブル徹底検証

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 旺盛な需要を受け、丸の内・大手町・有楽町地域の空室率は08年3月調べ(生駒データサービスシステム)で0・5%。07年12月の0・3%から上昇したとはいえ、3%を切っていれば貸し手有利とされている。目下のところ、需要と供給のバランスは大きく崩れていない。

が、局所的にはテナント募集に苦戦する物件も表れている。11月竣工予定の丸の内トラストタワー本館は現在のところ、テナントが半分程度しか決まっていない状況。「1年前までは新しいビルを好む外資系金融機関が列を成した。が、サブプライム問題の影響もあり、外資系金融機関に元気がないのが響いているのではないか」(証券アナリスト)。フロアを埋めることを急ぎ、賃料水準の引き下げに動けば周辺の他のビルにも影響が及ぶため、その動向は業界の関心を集めている。

再開発計画の進行で続々巨大ビルが竣工

さらに、需給バランスを崩す懸念材料がある。向こう2年は、今年11月竣工予定のトラストタワー本館、09年4月竣工予定の丸の内パークビルに限られる同地区での新規ビル供給が、10年以降、急増するのだ。

10年春にはJFEビルの建て替え(三井住友銀行本店が入居予定)、11年には東銀ビル・三菱UFJ信託銀行東京ビル・住友信託銀行東京ビルの一体再開発による高層ビル、東京中央郵便局の建て替えによる37階建ての巨大ビルが出現する。中央郵便局のケースでは、予定の19万平方?がほぼすべて賃貸に回される見通し。「すでに集配機能を江東区に移転させており、日本郵政は郵便窓口などを置く程度になる」(日本郵政CRE部門不動産企画部・齋藤隆司担当部長)。

時期は未定ながら、このほかにも一体開発による再開発の計画は目白押し。「大和証券ビル・新日鉄ビル・日本ビル」「新住友ビル・みずほコーポレート銀行ビル」「逓信総合ビル・旧東京国際郵便局」「経団連会館・日本経済新聞社ビル・JAビル跡地」などが、超高層オフィスビルの候補地だ。

強烈な”ライバル”も出現する。同じ千代田区内では丸の内に程近い神田、秋葉原などでもビル建設ラッシュが続き、お隣の中央区日本橋でも再開発によるビル供給が続く。交通の利便性にほとんど差がないこうした周辺地域の整備が進めば、丸の内地区だけ際立った賃料水準を維持することは困難だろう。

総床面積の増加で規模による収入増を狙える大手不動産会社は、賃料水準が多少下がっても、屋台骨が揺らぐことはない。が、賃料が先高になることを前提に、高値でのビル買収に走った私募ファンドやJ-REITなどに、少なからぬダメージを与えそうだ。
(週刊東洋経済編集部)

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