ロシアは択捉以外の島を手放すかもしれない

米国の専門家が日ロ交渉の行方を分析

このような状況に直面し、ロシアと日本の両国は経済・政治関係の強化が北東アジアの安定的なパワーバランスのために極めて重要だと考えている。北東アジアでは台頭する中国が力を誇示しており、北朝鮮の動きはますます予測不可能なように思われる。

安倍首相は9月26日、国会の所信表明演説で「領土問題を解決し、戦後71年を経ても平和条約がない異常な状態に終止符を打ち、経済、エネルギーなど日露協力の大きな可能性を開花させる」と述べた。

プーチン大統領との外交的な取り決めが実を結びそうだという何らかの兆しがなければ、日本の指導者はこのような大胆な発言はしないものだ。 

どちらも敗者にならない解決策を見つける

プーチン大統領も9月1日、次のように語って合意の可能性を示唆した。「我々が話し合っているのは交換や売却のことではなく、双方が負けたとか敗者だとか感じないような解決策を見つけることだ」。

冷戦時代、ソ連政府は米国が海上封鎖をした場合に千島列島がソ連の太平洋艦隊にとって生命線になると考えていた。領土的・政治的解決に向けてどのような形で日本と交渉しても、米国に対する軍事バランスに許容できない影響を与える可能性があった。同時に日本の指導者は、他であまりに多くの領土を失っているために、北方四島を永久に失うことを認めるわけにはいかなかった。

しかし、ウクライナでの行動によって、プーチン大統領の征服者としての評価は磐石なものになったのかもしれない。今の大統領には必要性の高い経済的・政治的利益と引き換えに領土問題で限定的に譲歩するだけの余裕がある。

同様に安倍首相も、中国や韓国、他のアジア諸国に対して強硬な国家主義者というカードを使うことで、国内での政治的権利を確保している。

この合意はどのようなものになるだろうか。

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