関西の通勤電車は、どうして軒並み速いのか 私鉄との競争が生んだスピードへのこだわり
高速で走る新快速電車に対し、京阪神地区の京都―神戸間を結ぶ各駅停車の路線の俗称が京阪神緩行線だ。古くは「ゲタ電」と呼ばれた茶色い旧型国電の40形や51形が戦中戦後を走り、1969年からは全国各地で活躍した国電の代表・103系が登場。1983年には201系、国鉄末期の1986年にはステンレス製の205系と新型車が投入されてきた。現在はこれらの車両は第一線から退き、地方電化区間、大阪環状線などで運用されている。
現在は、高速運転に対応するために207系・321系が運用にあたっている。207系は1991年に登場した通勤電車で、同社初のVVVFインバータ制御を採用している。片町線と福知山線をつなぐJR東西線の地下線内走行用に開発された電車で、同線のほか京阪神間の緩行線の主力電車のひとつに数えられる。
その後継として2005年に登場したのが321系だ。これまでの205系、207系の補充用に登場した通勤電車で、207系のデザインを世襲しているが、前面塗装は黒を基調とした引き締まった雰囲気で、力強さとスピード感を感じる特徴ある電車に仕上がっている。
名古屋でも走る新快速
中京地区でも新快速が走っているが、こちらのデビューはJRになってからだ。この地区の国鉄通勤電車の歴史は1955年に始まる。東海道線名古屋地区の電化が完成すると同年に80系電車が投入され、客車列車と共に通勤電車として運用されるようになった。1972年には急行形の153系が豊橋―名古屋間にほぼ一時間毎の運転となり、今日の快速、新快速の基礎を作った。
京阪神地区に登場した117系は中京地区にも進出し、1982年には快速用として使用されていた153系に代わり、名古屋周辺の東海道本線でも「東海ライナー」の愛称で走り出した。その後、1986年にはステンレス車体の211系電車も登場し、共に運用された。
JR東海となってから中京地区にも新快速が登場し、1989年には在来線通勤車両で初めて最高速度120km/hのスピードを実現した311系により、国鉄時代の電車は次第に姿を消して行った。中京地区の117系は国鉄の分割民営化でJR東海となった後も塗装の変更などを経て使用されてきたが、2014年1月に全廃された。現在のJR東海の代表的電車は1999年に登場した313系で、米原から熱海までJR東海のエリアに幅広く活躍している。
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