日経平均が来春に向けて2万円に上がる理由 大和・木野内氏、日本株上昇4つの根拠とは?

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2017年春以降は、株価調整に注意が必要だ。ポイントは米国の動向だ。米国の大統領選挙が終わり、新政権と市場とのハネムーン期間も過ぎる。仮にクリントン大統領となっても、同時に行われる連邦議会選挙では、下院は共和党が多数を占めるだろう。となると予算を巡って政府と議会が対立、財政緊縮状態となり、株安をもたらしかねない。

11月頃までの短期では、銀行や不動産、中国関連、電子部品に注目している。これまで大きく売られたリバウンドが期待できるだろう。その後はロシアのプーチン大統領訪日や、札幌の冬季五輪立候補などを話題に、北海道関連が注目されそうだ。

有機ELや自動車向け電池関連が有望

2017年もにらんだ中期では、半導体・有機EL関連の製造装置や部材、さらに自動車向けを中心とした電池に期待している。

先日発売されたiPhone7/iPhone7 Plusは、前モデルからの変更が小幅にとどまり、大幅モデルチェンジのサイクルがこれまでの2年から、3年以上になった。次期iPhoneに採用されるという有機ELなど、半導体・ディスプレー関連の投資は2017年まで伸びるだろう。

電池は自動車用の需要が本格化する。自動車の環境(燃費)規制をリードする米カリフォルニア州や欧州では、規制がどんどん厳しくなり、米欧では単なるハイブリッド車(HEV)だけでは規制に対応できない。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHEV)の販売を大幅に増やす必要があり、必然的に電池の需要が高まる。

また、各社が力を入れている自動運転についても、その実用化には、エンジンよりもモーターを動力とするEV・PHEVのほうが適している。電池は息の長いテーマとして注目できそうだ。

木野内 栄治 大和証券投資戦略部チーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト

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きのうち えいじ

日本経済新聞社、毎日新聞社のアナリストランキングにおいて、2003年から市場分析部門等で13年連続第1位。東証ペンクラブ文化賞受賞、東洋経済新報社・高橋亀吉賞優秀作受賞、景気循環学会中原奨励賞受賞、同学会理事。

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