スバル、米国工場増強後の課題 カギは中国ビジネスか

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現在、米国工場では主力車種「レガシィ(米国名は『アウトバック』)」「インプレッサ」のほか、トヨタ自動車の人気セダン「カムリ」の生産も受け持っている。スバルは約400億円を投じる米国工場の能力増強に併せて、一部のラインを混流生産ができるように改造。需要の変動に柔軟に対応できるようにもする。

一方、米国現地工場の増強後に、生産能力が余剰になってはたまらない。北米市場に頼り切らないように、日本と北米以外の地域でも、販売台数をさばけるようにもしていかなければならない。吉永社長は「今は好調だから米国を増強するが、他地域での販売体制も同時に強化していく」と述べる。その重点地域の一つが、13年初から販売員や組織の強化に取り組んでいる中国だろう。

中国の現地生産は先送り

米国増強の裏側には、中国ビジネスの存在がある。実はスバルは、11年7月に中期経営計画(11~15年度)を公表した時点では、中計期間中に、中国での現地生産を目指すとしていた。しかし、当局からの認可が下りず、吉永社長は12年5月に「中計期間中の中国生産開始は困難」との見通しを示していた。

スバルにとっては中国での現地生産をひとまず先送りしたことで、米国の増強に集中できる面もある。今後の現地生産の有無は別にしても、中国での販売体制を強化しておくことは、安定した経営基盤を築く上でも必須となる。

(撮影:尾形 文繁)

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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