「固定式ホーム柵」は、転落事故防止に有効か ホームドア設置までの「つなぎ」になる?
固定柵とは、読んで字のごとくホーム上に固定された柵のこと。ホームドアとは異なり、電車のドアの部分には基本的に遮るものはない。ホームドアと比べると低コストだが、ホームと線路を完全には遮断できないため、やや簡易的な安全対策といえる。
国交省によると、固定柵もホームの安全対策の一つとして過去に議論には上ったものの、メリットやデメリットを検討した結果、ホームドアの設置を推進することになった経緯があるという。視覚障害者からは「開口部がどこにあるか分からないので逆に不安になる」といった意見や、もし普及した場合、ホームドアの代わりに固定柵の設置で済まされてしまうのではといった懸念もあったようだ。
安全対策の一例として固定柵の設置を挙げた、視覚障害リハビリテーション協会理事の加藤俊和氏も「転落を防ぐには可動式ホーム柵が一番なのは当然で、固定柵は論外と扱われてきたのは事実」と語る。だが、「それでも(ドアの部分以外など)ホーム全長の3分の1程度であっても柵を設置できれば、転落事故を大幅に減らせる」と説明する。
線路の方向を知る手がかりに
加藤氏によると、視覚障害者がホームから転落する事故の6~7割は、ホーム上で人にぶつかるなどで、どちら側が線路なのか分からなくなったことが原因だという。固定式であっても柵があれば、身体がぶつかるなどして方向を知る手がかりになる。
また、視覚障害者の転落事故は線路に向かって直角に落ちるのではなく、線路と並行して歩いている際に足を踏み外して転落するケースが多いといい、このような場合は固定柵があれば転落せずに済むだろうと加藤氏は指摘する。このほか、高齢者や体調を崩した人がつかまることもできるため「視覚障害者だけでなく、多くの人々の安全性向上に役立つ」という。
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