不動産2極化時代 勝ち組物件の見分け方 水面下では優勝劣敗の動きが鮮明に
オフィスはテナント争奪戦 マンション需要は都心集中
明るさが見え始めた不動産市場だが、業界関係者が今後のキーワードとして口をそろえるのが「二極化」だ。オフィスビルは「新しく耐震性が優れ立地もよい物件は活況だが、反対の条件だと空室がなかなか埋まらない」(都市未来総合研究所の平山重雄・主任研究員)。投資マネーが触手を伸ばしているのも賃料上昇が見込める優良物件に限られている。
都心の再開発で続々と建設される新築ビルの存在も、この傾向に拍車をかけている。テナントが最新ビルに移転して空いたフロアを埋めるため、別のビルに入居するテナントを誘致するといった奪い合いが生じており、競争力が劣る老朽化ビルの空室率は一向に改善しない。
マンションも同様だ。「老若男女を問わず、都心部を中心に交通の利便性がよいエリアに需要が集中している」(みずほ証券の石澤卓志チーフ不動産アナリスト)。「住宅すごろく」のゴールとして持ち家需要の受け皿となっていた郊外は、住民の高齢化が進展。最寄りの駅からバスを利用する地域では、「庭など維持に手間がかかる戸建てから駅周辺のマンションへの住み替えニーズが強まっている」(トータルブレインの杉原禎之常務)。こうした地域は若い世代にも敬遠されがちだ。
地価にも同様の傾向が表れている。下図は2004年以降の公示地価の推移を示したものだ。都心部の中央区・月島、千代田区・市ヶ谷、さらに駅周辺に大型マンション供給が相次いだ川崎市・武蔵小杉は過去10年で地価が上昇。一方、埼玉・所沢、千葉・柏などの郊外エリアは地価下落が続いている。
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