みずほFG、信託の差別化戦略とは みずほ信託銀、中野武夫・新社長に聞く

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なかの・たけお
1956年生まれ。80年東京大学法学部卒業後、富士銀行(当時)入社。財務企画部門の経歴が長い。2012年みずほ銀行取締役副頭取を経て13年4月からみずほ信託銀行社長。

――銀・信連携で特に強化する事業は?

みずほ信託の強みは3つあります。第一に不動産。2012年度も不動産関連収益は業界トップを堅持しました。これで5年連続になります。今はオールみずほで集めた不動産情報が信託に集まります。仲介だけでなく、流動化ビジネスやノンリコースローンなど関連事業の拡大につなげ、銀行の不動産向け融資も増えるでしょう。

2番目はコンサル機能です。特に事業継承など、中小企業のオーナー経営者に対するコンサルを強化したいと考えています。コンサルチームは大幅に増員します。さらにみずほ銀の副支店長や課長クラスに対する研修を信託で引き受け、オーナーのニーズを取り込める人材を育成します。研修期間は約3カ月、年30~40人のペースで実施していきます。

最後が商品開発力です。顧客ニーズを起点とした新商品を増やしていきます。自動車ローンなど小口債権を裏付けにした金銭信託「貯蓄の達人」は、昨年8月からみずほ銀全店で販売を始め、この3月末で残高が1兆円を超えました。今後も信託の専門性を生かして、新しい商品やサービスに挑戦します。

私は「信託フロンティアの開拓」と言っていますが、1500兆円と言われる個人金融資産の活性化にも貢献していきたい。インフラや代替エネルギー、農業などの成長分野に民間資金が入り込むような信託スキームを想定しています。東日本大震災からの復興事業では、民間資金導入のために土地信託を活用したスキームを自治体に提案しました。まだまだこれからですが、知恵と工夫で何とかなると思っています。

オールみずほのスタンスを持つ

――グループ一体運営と信託の収益拡大は両立しますか?

収益はオールみずほのどこに落ちてもかまいません。信託としての目標もあるが、それよりもオールみずほのスタンスを持つことが大事です。ただ、不動産仲介や信託商品を提供できるのはわれわれだけ。グループ収益が拡大すれば、信託の収益もついてくると思っています。

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