経済改革へ本腰、北朝鮮が変動相場制を導入

外資導入やインフレ退治狙い、金正恩第1書記が決断?

そのため、外貨を取り扱うすべての個人と企業所、機関には「内貨口座」とともに「外貨口座」を開設し、この口座で対外的な取引を行うようにせよとの指示が出たという。北朝鮮国内には、現在40億~50億ドルが闇で流通しているとされる。今回の措置で、民間が保有するドルを国家が没収する形になるが、これにより市場経済的な手法でレートと物価を安定化させようとする試みのようだ。

これまでの北朝鮮での為替レートは、2006年ごろには1ドル=2600ウォンレベルから、09年に実施され国民からの強い不満を引き起こした「デノミ政策」(貨幣改革)を経て、現在では6000ウォン水準で推移。時には8000ウォンを突破するど、激しいインフレに悩まされてきた。

現実離れした公定レートでは外資も呼べず

米国の自由アジア放送(RFA)の報道によれば、北朝鮮で「チャンマダン」と呼ばれる市場での買い物も、しばしば変動する自国通貨での値付けではなく、人民元やドルでの値付けで、そのまま取引されるようになったと伝えているほどだ。

また、北朝鮮に進出している外国企業にとっては、不利な面が多かった。たとえば北朝鮮で移動通信事業を行っている「高麗リンク」社は、エジプトのオラスコム社との合弁会社。自社が行う携帯電話の通信料は「ウォン」払いで受け取っている。だが収入は公定レートで換算されるため、その価値がかなり下がってしまい利益を得るのは難しい状態だった。このままでは、外国企業の腰が引けてしまうのが現状だ。また、石炭などの豊富な地下資源も、北朝鮮国内に回すべき量を「レートがいいから」という理由で中国に売ってしまうという事態も頻発していたようだ。

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