堅調だった日本株は岐路に差しかかっている 株価の上下は2つの指標を見ればわかる

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逆に3月、5月、7月、8月のようにボラティリティーが前月比で大きく低下した場合は株価が上昇しています。9月8日までの1カ月で算出すると、ボラティリティーは一段と低下し、1カ月平均の変動幅は137円まで低下しました。これは2015年3月9日の130円以来、1年半ぶりの値動きの低さです。

変動率に換算しても、0.82%で、今年最低水準にあります。ボラティリティーの低下が堅調相場の一因となってきましたが、低下もほぼ限界に近付いており、今後のボラティリティーの上昇には注意が必要です。

参考までに、昨年からの四半期別の変動率と騰落率もチェックしておきたいと思います。

(四半期別の変動率と株価の騰落率)
             変動幅 変動率   騰落率
  2015年01~03月       188円 1.04% +10.06%
               04~06          167   0.84    + 5.36
               07~09          309  1.59  -14.07
               10~12          221   1.16    + 9.46
      2016年01~03月       360  2.14     -11.95
                04~06         294  1.80     - 7.06
                07~09         188  1.14     + 8.88
(注)2016年7月~9月期は9月8日までのデータ

やはり、四半期データでみても、月次と同様の展開となっています。足元では変動率が大きく低下し、底に近付いていると想定されるだけに、日々の日中値幅のチェックは欠かせません。

空売り比率と株価の天底はリンクしている

空売りのほとんどは、51単位(1単位は日経平均の1000倍の価格、約1700万円)以上の大口の取引によるものです。当然のことながら、主たるプレイヤーは海外勢だと思われます。空売り比率が高いということは、海外投資家の売り越しを意味し、相対的に低い空売り比率は、少なくとも海外投資家は売り越していないし、買い越している可能性が高いという推定が働きます。

新年度入り後の空売り比率(5日平均)と日経平均株価の「天・底」(天井と底値)を以下に示しました。これを見る限り、空売り比率のピーク前後で株価は底入れし、空売り比率のボトムで株価が天井を打っていることは明らかです。

空売り比率    株価の底   空売り比率    株価の天井
のピーク               のボトム
   4/07 42.1%    4/06  1日前 4/25 34.9%       4/22 1日前
        5/11 40.3   5/06  3日前 5/30 38.2          5/31 1日後
   7/08 42.4      7/08   同日   7/22 38.1         7/21 1日前
   8/05 42.5      8/03 2日前  8/15 39.8         8/12 1日前
   8/24 43.3      8/26 2日前  9/07 36.4         9/06 1日前

ここから分かることは、空売り比率がピークを付ける3日前までに株価は底打ちし、空売り比率が底入れした前日に過去4回では例外なく株価は天井を打っていることになります。今回も空売り比率(5日平均)の底の1日前に株価は天井を打った感があり、データは生きているということだと思われます。

ボラティリティーの低下、空売り比率の低下とともに続いてきた堅調相場は佳境に差し掛かっており、少なくとも新規の買いは控えるタイミングだと考えられます。

荒野 浩 マーケット・アナリスト

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あらの ひろし

あらの ひろし 1971年日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社後、調査部でアナリスト業務に従事。米国勤務を挟み一貫して、日本株の情報・市場分析を行う。1996年に朝日投信委託(現みずほ投信投資顧問)に転籍、調査部長・運用部長を経て、常務取締役投信運用本部長を歴任。 2012年に退職。その後はTV,ラジオ出演などで活動。日本株を中心とした市場分析の経験は約45年に及ぶ。投資Salon「荒野浩のテクニカル・ルームから」は、独立系アナリストのメルマガとして、国内最大規模を誇る。

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