武蔵小杉のマンション価格が急上昇した理由 08年から4割増、住民の本音に透ける成熟期
今回、私は独自にアンケートを取ってみました。2010年ごろに武蔵小杉駅周辺でタワーマンションを購入した方40人が対象で、平均年齢は35.3歳。原則自由回答です。まず、「なぜ武蔵小杉を選んだのか?」と聞いてみました。すると、「渋谷や目黒の都心主要駅へのアクセスが良かったから」「今後の発展が期待できるから」「都心のタワーマンションと比較すれば割安だったため」という回答が目立ちました。2010年ごろは、まだ都心のタワーマンションエリアより割安感がありました。
次に「購入時に将来の転売や賃貸等を想定したか」と質問いたしましたが、40人中37人が「いいえ」と回答。ほとんどの人が永住目的で購入した模様です。ただ、「現時点では将来的な転売や賃貸等を考えることはあるか」という問いに対しては、40人中23人が「はい」と回答いたしました。特に転売を考えたことがある人は23人中19人。この6年間の地価上昇に伴うマンション資産価値の高まりによって、居住者の方のマインドにも変化が生じていることが伺えます。
今後のマンション価格はどうなるのか
では、今後も武蔵小杉のマンション価格は上がり続けるのでしょうか?
タワーマンションは用地を取得してから建築着工→分譲までに長い期間を要します。仮に5年を要するとすれば、2016年に分譲するマンションの用地は2011年頃に仕入れていることになります。2011年時点で武蔵小杉はまだ都内主要4エリアと比較すれば地価は割安でした。土地の仕入価格は当然マンションの分譲価格に反映されるため、武蔵小杉は大きなアドバンテージを誇っていました。しかし、ここ数年の地価上昇によって、このアドバンテージはもはやなくなりつつあるといえます。
おそらく地価の伸びも徐々に落ち着いてくるのではないかと予測され、マンションの分譲価格の高騰もいずれ収束を見ると予測されます。
2015年総務省発表の資料に基づき計算される平均所得は、武蔵小杉周辺を含む川崎市全体が約391万円。対して、都内の主要なタワーマンションエリアの立地する区内の平均所得が東京都港区で1000万円を超え、東京都中央区で約595万円、東京都江東区で約408万円です。当然、武蔵小杉駅周辺のタワーマンション居住者は川崎市全体を大きく上回るものと予測されるものの、所得から見てもマンション価格は明らかに高騰しています。
円高や株安の影響もあって、首都圏マンションの全体動向にも変調が見られます。不動産経済研究所によれば7月の首都圏マンション発売戸数は8カ月連続で減少。販売価格も1戸当たり5656万円で前年同月比5%ダウンとなっています。武蔵小杉の「買い時」は新築物件に関しては終わりを迎えているのかもしれません。
前述したアンケートでは「武蔵小杉の新築マンション価格は今後さらに上昇すると思うか?」という点についても質問しました。すると、住民の意見は真っ二つに分かれました。20人が「はい」、20人が「いいえ」と回答したのです。
「はい」の方の大半は「東京オリンピックまでは上昇する」と期待されており、その後は頭打ちとなるとの見方です。武蔵小杉という街が成熟期にあることを、最も居住者が敏感に感じているということの裏付けかもしれません。個人的には買うのであれば、築5年程度の中古物件ではないかと思います。新築ともスペック自体はそれほど変わりませんし、まだ価格上昇の余地が残されているため将来の売却益を見込める可能性があるといえます。
価格上昇が調整局面になるということは、言い換えれば「街としての成熟期」を迎えている証拠であり、マンション居住者にとっては「売り時」「貸し時」を積極的に探る良い時期なのかもしれません。
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