日本再生には「バブルへGO」政策しかない? 「劇薬」を使えば、日本経済はよみがえる

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それだけではない。一般企業が銀行に預けている預金の金利についても、実質的にマイナス金利が適用されることになるだろう。そうなった時、おカネはどのように流れるのか。さすがに「タンス預金」というわけにはいくまい。おそらく、銀行口座に滞留している余裕資金があぶり出されるだろう。マイナス金利の適用によって、企業が預けている銀行預金が目減りする事態になれば、企業は銀行預金を引き出し、一部の資金を株主への配当増や、自社株買いなどに回すはずだ。自社株買いはROE(株主資本利益率)の向上につながり、株価を押し上げる効果をもたらす。

また、日本企業の旧来的な資本政策にも変化をもたらす。多くの日本企業は、内部留保を厚くすることこそが、経営の安定化につながると考えてきたが、マイナス金利が常態化したら、外部からの資金調達を積極化させたレバレッジ経営が、改めて見直されるだろう。マイナス金利下では、資金を借りたほうが明らかにトクであり効率的だからだ。実際、一部の大企業はすでに、長期の資金調達を積極的に行っている。

「貯めるよりも使うほうがトクだ」という価値観が世の中に広まれば、消費は伸びる。アベノミクスがスタートした時、日銀の黒田総裁は、「2015年までに期待インフレ率を2%上昇させる」と宣言したが、その目標は未達のまま、2016年も半ばを過ぎた。

しかも直近の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で見ると、3月から前年同月比でマイナスの状態が続いている。これだけ金融を緩和し続けているのに、インフレになるどころか、逆にデフレ色が濃くなっている。もはや大抵の金融緩和策では、物価は上昇に転じないのではないだろうか。小出しの金融緩和では毒にも薬にもならない。ここまで冷えてしまったインフレ期待を再び盛り上げるためには、劇薬を注入するくらいでちょうど良い。

日本経済に必要なのは「バブル政策」しかない?

より本格的なマイナス金利の導入によって、株価が再び上昇軌道に戻ったら、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)の手法を用いて、空港や高速道路など、国が保有している資産を民間に売却すれば良い。必ず買い手が現れ、おカネが動く。日本の社会インフラは、かなりの程度、老朽化が進んでおり、それを修復するためには、公共工事を必要とするが、問題はその財源確保だ。いうまでもなく、今の日本は1000兆円規模の政府債務を抱える借金大国と化している。

しかし、PFIも含めた民営化政策の推進で政府資産を売却すれば、財政再建への道筋が開けるだけでなく、新たな公共工事を行うための財源も確保できる。こうして需要を創造すれば、景気は再び回復軌道に乗る。この手の政策は経済のバブル化を招く、という意見もあるだろう。しかし、今の日本経済を回復させるためには、財政健全化にもつながる構造改革を絡めたこれくらいの荒療治が必要だ。ここで経済がデフレ化したら、日本経済は再起できず、アベノミクスは失敗に終わる。

もし、本当に経済がバブル化したら、その時にこそ消費税率を、現行の8%から10%に引き上げれば良い。恐れずに「バブルへGO!!」(2007年の映画のタイトル)政策を実施すると宣言することから、最後のアベノミクスの挑戦がスタートする。

中野 晴啓 なかのアセットマネジメント社長

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なかの はるひろ / Haruhiro Nakano

1987年 クレディセゾン入社。2006年社内ベンチャーとしてセゾン投信設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任し、 2023年6月に退任。9月1日、なかのアセットマネジメント設立。趣味は歌舞伎鑑賞や鉄道など。

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