フィンランドのワーママに「罪悪感」などない ヘルシンキは夏休みの子どもに「無料で昼食」
ヘルシンキ市内に住むアレクシ・リンタ=カウッピラさん(32)とエイラ・ラハデンペラさん(33)は、昨年12月に女の子を授かった。生後4カ月間は妻のエイラさんが育休を取り、現在は夫のアレクシさんが4カ月間の予定で育休中だ。
フィンランドでは、生後約8カ月間は有給の育休期間となっている(父親はその後9週間追加で育休を取得することも可能)。夫婦交代で4カ月ずつ育休を取ることにした理由について、エイラさんは「私がずっと家にいるのもつまらないし、自分と夫が半分ずつ育休を取ることで、ふたりともが早い段階で親としてのスキルを高めることができると思ったから」と語る。また、秋にアレクシさんが職場復帰した後は、すぐに保育園に入れるのでなく、しばらくはエイラさんの父親に子どもの世話を頼むつもりだという。
エイラさんたち以外にも、「集団生活を経験させるのは2歳頃からが適当」という考えで、夫婦交代で2歳まで育休を取ったり、ナニー(教育ベビーシッター)を雇って自宅で保育をしたりしたという話を複数聞いた。自治体には希望者を全員保育園に受け入れる義務があり、待機児童問題がない。仕事の復帰時期も、保育園に預ける時期も、自分たちの意思で柔軟に決める余地がある。
母親が子育てと仕事の両立に悩まない3つ目の理由は、フィンランドではフルタイムの社員も残業をしないことにある。エイラさんの場合、夕方5時頃には帰宅するが、それは子育て中だからとか、特別ゆとりのある勤務先だからということではない。労働時間や休息時間に関する法の規制力が強いうえ、もし残業させた場合は高い割増賃金を支払うか、別の日に休息時間を与える決まりもあり、経営者側が残業を望まない。社員も残業しないのが当たり前なのだ。
誰にとっても無理のない生活
フルタイムで働いていても、4時や5時に会社を出られるのであれば保育園の迎えにも十分間に合う。母親だけでなく父親も早く帰ってくるので、夫婦で家事を分担すれば、家族で過ごす時間、休息時間も取りやすいだろう。エイラさんの「子どもの世話を父に頼むつもり」という話を聞いた時、「おじいちゃんひとりで幼児の世話なんかできるの」と驚いたが、子どもと過ごす時間を十分とってきた男性であれば、孫の世話だって特別なことではないのかもしれない。
日本の母親が「仕事か育児か」に悩むのは、家事・育児の負担が母親に偏りがちな状況、長時間労働できる者が重用されやすい労働環境の中で頑張ることに疲れ、無理して働く意味を見いだせなくなってしまうことのほかに、無理のしわ寄せが子どもにもいっているという後ろめたさもある。
この状況を打開するには、子どもを歓迎し、子育てに協力的な社会を作ること、良質な保育と教育の受け皿を作ること、無理のない働き方を当たり前にすることが必要だ。
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