中国で勃発、「反アップル運動」のインパクト 「南シナ海裁定」を巡って反米デモ

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 7月24日、国際的な論争の後に外国企業がボイコットに見舞われることの多い中国で、小規模かつ一時的ではあったが、米アップルも、最大の海外市場である同国で反米デモの標的となった。写真は3Dプリントされた同社ロゴ。ボスニア・ヘルツェゴビナで4月撮影(2016年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration/File Photo)

[香港 24日 ロイター] - 国際的な論争の後に外国企業がボイコットに見舞われることの多い中国で、小規模かつ一時的ではあったが、米アップル<AAPL.O>も、最大の海外市場である同国で反米デモの標的となった。

南シナ海の領有権をめぐり、中国の主張を認めないとする国際仲裁裁判所の裁定を受け、異例にもアップルは不当のシンボルと見なされ、標的とされた。一部の非公式なアップル製品を売る店が包囲され、ソーシャルメディアのユーザーは自分のアップル製品を壊すよう互いに呼びかけた。

アップルの売り上げには長期的影響も?

抗議は小規模なものだったが、専門家は、外交問題によって大規模なデモやボイコットが発生し、日本車の売り上げが約1年に及び落ち込んだことを挙げ、アップルへの長期的影響に懸念を示している。

「アップルや他の外国企業が、そのような愛国的抗議を防ぐためにできることはあまりない」と、調査会社カナリスのアナリスト、ニコール・ペン氏は指摘。同氏は、最近の抗議活動によるアップルの売り上げへの影響はないとみており、「こうしたことは数年に1度起きる」と語った。

この件についてアップルにコメントを求めたが、同社は応じなかった。

中国は世界最大のスマートフォン市場だが、個人消費が弱まり、経済成長も減速するなか、低価格端末を提供する国内スマホ最大手の小米科技(シャオミ)[XTC.UL]や通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]に対して、アップルは同国で増加する中間層への依存を一段と高めている。

また、アップルが中国で直面している他の課題に、規制当局との軋轢(あつれき)がある。同社は中国の規制強化を受け、電子書籍や映画配信サービスを今年停止した。また、北京の知的財産当局は5月、「iPhone(アイフォーン)」のデザインが中国企業の特許を侵害したと指摘している。

1─3月期における中国での売り上げは前年同期比で約25%減少。アップルは26日、4─6月期決算を発表するが、新製品の発売もなくさえない内容になると広く予想されている。

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