首都圏の鉄道、利用者増加駅50・減少駅50 再開発で意外な駅が上位に

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東武野田線(東武アーバンパークライン)の最新型車両60000系。東武は近年同線に力を入れている(写真:tarousite / PIXTA)

まさにダークホースといえるその駅は、東武野田線(東武アーバンパークライン)の新船橋駅だ。同駅は2010年度の1日平均乗車人員が2159人だったのに対して2014年度には6093人にまで急増しており、増加率はなんと282%に達する。

同駅の開業は1956(昭和31)年で、野田線では比較的新しい駅とはいえ開業からはすでに60年近くが経過しており、駅名こそ「新」がつくものの新駅ではない。また、船橋駅からほど近いこともあって近年までは野田線でも利用者数が最も少ない部類だった。

同駅の乗車人員が急増した理由は、駅周辺の大規模な再開発だ。かつて同駅周辺にあった旭硝子などの大規模工場跡地の整備が進み、周辺にはマンションなどが続々と建設されたほか、駅西口には2012年に大規模商業施設「イオンモール船橋」が開業。新たなベッドタウンとして急成長を遂げている。

7位にランクインした京急大師線の港町駅も同様の例だ。同駅も以前は工場地帯の駅、また川崎競馬場の最寄り駅というイメージの小駅だったが、2013年春に駅北側に京急電鉄などが開発したタワーマンション「リヴァリエ」が完成。合わせて駅もリニューアルされた。マンションは来年の竣工に向けて3棟目が工事中で、今後もさらなる利用者の増加が予想される。

減少率上位はローカル区間

一方、減少した駅で目立つのは、房総半島を走るJR内房線・外房線の各駅だ。減少率上位の50駅のうち、この2線の駅が16駅を占める。もっとも、これらの駅は都心部への通勤路線ではなく地域輸送が主体となっている区間の各駅だ。

減少率1位となったのは、やはり地域輸送のローカル区間であるJR八高線の明覚(みょうかく)駅。所在地の埼玉県ときがわ町自体も人口減少が進んでおり、ログハウス風の駅舎は「関東の駅百選」にも選ばれたものの2013年に無人化された。

いわゆる通勤路線としては、JR中央線の相模湖駅が減少率25.4%と高い数値を記録している。快速電車が頻繁に発着する高尾駅の隣で、新宿から約50kmと都心からもさほど遠くない同駅の利用者が急減したのは2012年度。同年の駅周辺の変化として挙げられるのは帝京大学相模湖キャンパスの移転で、通学利用者の減少が響いた可能性が大きいようだ。

全体的に都心から離れたエリアの駅が多い中で注目されるのは、小田急線・京王井の頭線の乗り換え駅である下北沢駅。小田急は12.8%減、井の頭線は11.7%減と、どちらも10%以上減った。大幅な減少は、小田急線ホームが地下化された2013年度に起きている。

このほか、神奈川県随一の大ターミナルである横浜駅の隣に位置する小さな駅、京急本線の神奈川駅も13.2%減少している。横浜まで1km足らずの距離であることから利用者数はもともと少なかったが、もう一方の隣駅である仲木戸駅が2010年から「エアポート急行」の停車駅となって利用者数が大きく伸びており、横浜駅に加えてこちらにも流出した可能性が考えられるだろう。

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