「65歳まで全員雇用」で企業、個人はどうなる 4月から「65歳まで全員雇用」を義務化

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さらにある大手上場企業の人事部長はこうささやく。「団塊の世代は片が付いた。本当に大変なのは、バブル世代が60歳にさしかかる10年後。それを見据えて、今から抜本的に人事・給与制度全体を見直さないと……」。

いずれ来る70歳年金・70歳雇用

この先を見据えれば、年金支給の開始年齢も65歳で済むとは思えない。すでに欧米では67~68歳に引き上げた国もある。厚生労働省・労働政策審議会の会長も兼ねる清家篤・慶應義塾大学塾長は「個人的意見だが、いずれは70歳支給もありうる」と見通す。そうなれば、連動して、企業の雇用延長の義務が70歳まで引き上げられるのは確実だ。

 一方、個人にとっては、あえて現在の会社に雇用延長を希望しない道もある。起業する、他の会社に転職する。もちろん、それまでの貯蓄や家賃収入、親の遺産などでしのぎ、働かない手もあるだろう。60歳以降の人生では選択肢が広がる分、今からじっくりと考えておくことだ。東京しごとセンターなどで高齢者向けの講演も多いオフィスビサイドの伊東文子代表は、「人生の残り20年をどう過ごしたいか、キャリアと資産の棚卸しをすること」と説く。

避けようのない超高齢化社会に向けて、国、企業、個人のそれぞれが、どんな設計図を描くか。今回の65歳雇用延長は、容易に解決できない、重い課題を突き付けている。

週刊東洋経済1月26日号「65歳定年の衝撃」特集もあわせてお読み下さい)

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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