今さら聞けない「確定拠出年金」基本中の基本 その仕組みを知って老後資金対策を考えよう

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仮に給与の手取りが35万円で1カ月の生活費が25万円という人であれば、給与日前日の残高がいつもだいたい75万円になるように意識して生活をします。給与が振り込まれた時点で100万円を残して、余分な10万円は「貯めるおカネ」に移動します。

「貯めるおカネ」は、5年から10年の間に使う予定のあるおカネを入れておく口座です。すぐに使う必要がないおカネですから、主に定期預金や個人向け国債などを利用します。

「貯めるおカネ」の用途は、主にお子さんの学校の費用や住宅購入の頭金などです。車の買い替えを予定している場合や住宅ローンの繰り上げ返済を考えている場合も「貯めるおカネ」に入れておきます。

貯めるおカネの箱には、もうすでに貯まっているおカネもあれば、これから貯めていかなければならないおカネもあります。たとえば、お子さんの大学費用として500万円の貯金を目標にしていて、すでに学資保険で300万円は準備できているとします。その300万円は「貯めるおカネ」の箱にすでに入っており、残り200万円を同じ「貯めるおカネ」の箱でこれから貯めていきます。

仮に、あと10年で200万円をつくるとなれば月々1万6000円を、3年後に車の買い替えに100万円必要であれば月々2万8000円を貯めるおカネの箱に入れます。

「使うおカネ」から移動したのは10万円、「貯めるおカネ」に入れるのは4万4000円ですから、まだ5万6000円残りますね。これを「増やすおカネ」に移していきます。

おカネを眠らせておくのは、もったいない

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「増やすおカネ」は長期での資産形成に特化し、「経済成長の力を借りて増える可能性があるもの」です。まさに確定拠出年金がうってつけというわけです。この例では5万6000円を増やすおカネに回すことができましたが、実際にご自分の家計をチェックして、いくら増やすおカネに回せるかを考えてみましょう。また、確定拠出年金の掛金の上限を超える場合は、投資信託の積立などをNISA口座で行うなどすると良いでしょう。

「使うおカネ」「貯めるおカネ」「増やすおカネ」と用途によって分けて管理するのは貯蓄のコツでもあります。

「タンス預金」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、おカネを眠らせておくことは、とてももったいないことです。マイナス金利の日本では、銀行の普通預金に必要以上におカネを入れておくことも同じです。

経済成長の力を借りておカネに働いてもらう、さらに有利な国の制度を活用して金融資産を最大化しなければ、これからの厳しい老後は乗り越えられません。

山中 伸枝 ファイナンシャルプランナー、FP相談ねっと代表

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やまなか のぶえ / Nobue Yamanaka

FP相談ねっと代表。一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。アメリカ・オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」ビジネスパーソンのためのライフプラン相談、講演を数多く手掛ける。大手新聞社主催のiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAセミナーの講師など登壇も多数。金融庁のサイトで、有識者コラムを連載。著書に『「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書』(インプレス)、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、『100人以下の会社のためのiDeCo&企業型DC楽々活用法』(日本法令)ほか。公式サイト

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