まだ仕事が未熟だからこそ、後輩指導を!

「姉さんが言わはる前に、気ぃつかんと」

そこで、「後輩へ注意することができた場合と、できなかった場合それぞれについて、メリットを挙げてみては」と、自分の置かれた状況を自分で整理することを提案してみました。

後輩を注意することのメリットは、大きく2点あります。

・後輩が正しく仕事ができる→後輩の能力が伸びる

・注意をすることを通じて自分が業務を深く理解できる→自分の能力が伸びる

このように後輩も自分も能力が伸びれば、長期的に考えると、組織の生産性向上に貢献できる度合いが増すだろうと考えられます。

一方、後輩に注意しないことのメリットも、大きく2つ挙げられます。

・何もしない→職場の人間関係に変化はない

・時間を自分のためだけに使える→自分は現状のペースで仕事ができる

後輩に深くかかわらなければ、後輩との人間関係の煩わしさを避けることができます。注意の仕方が不適切だということを自分の先輩から指摘されないかなどと、悩む必要もありません。さらに職場での時間を自分のためだけに使えるので、仕事をするペースに変化も生じません。したがって、現状維持ができると予測できます。

注意することのメリットは、「組織の生産性を向上させられる」こと。注意しないことのメリットは「現状維持できる」こと。このように比べてみれば、明らかに注意したほうがいいということがわかります。

注意することのメリットは何となくわかっている一方で、注意すると現状の変化につながるから迷いが生まれ、「相談したい」という冒頭の年賀状の一文になったのだと思います。

「まだ仕事ができない」からこそ、注意をしよう

相談者も、企業の中ではまだまだ経験の浅い新人同様です。能力を伸ばすために、たくさんの人から注意を受け、より適切な仕事のやり方を獲得していかなければなりません。

実は、そうしたキャリアの段階だからこそ、きちんと注意をすべきなのです。
まず、後輩を注意する経験をすれば、相手の反応からよりよい注意の受け止め方を学ぶこともできます。これは、あなたが注意されるときに役立つでしょう。

さらに、相談者はチ―ムの取りまとめ役でも、係長でもありません。こうした経験の浅いキャリアの時期こそ、失敗するチャンスです。立場上フォローしてくれる先輩や上司がいますから、後輩への指導方法について尋ねたうえで、実行することもできます。

分業と協業で成り立つ企業組織で、一緒に働く人たちや利害関係者とかかわりなく過ごすということは、あり得ないことです。だとしたら、早い段階から多様な人とかかわる経験を積み、そうしたことに慣れ、周囲と関係づくりができる力を自分で育てることが大切なのです。

それが、組織の中で責任ある行動ができる、といった評価へつながります。新人から一歩進んだ時期だからこそ、こうした責任ある役割を自ら引き受けていくことが、今後のキャリアのためにも、重要です。周囲との接触を避けて、自分の仕事だけをすることは、組織への貢献を回避するという、無責任な行為といえます。

実は京都花街では、このような無責任を戒め、さらに自分を伸ばすための言葉があります。経験2年目の舞妓さんでも自然にこの言葉を使えるほど、街の文化として浸透しているのです。

次のページでは、京都花街に伝わる、含蓄のある言葉を紹介しましょう。

次ページ京都花街に伝わる「言葉」とは?
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