減益が続出! ゼネコンを待ち受ける末路

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公共事業の削減や脱談合の流れに抗(あらが)うように旧態依然とした産業構造を変えないゼネコン。鹿島など最大手ですら大幅に業績を落とす中で、彼らに明日はあるのか。(『週刊東洋経済』12月15日号より)

 ゼネコンが苦境に立たされている。

 2007年9月中間決算では、大成建設など上場スーパーゼネコン4社が軒並み営業減益に陥った。通期でも各社は減益の見通し。特に業界盟主の鹿島が前期比約7割減にまで大幅に下方修正したことは、関係者の間に衝撃を走らせた。準大手クラスの在京11社でも中間期の営業増益は戸田建設や長谷工コーポレーションなど4社のみ。その長谷工も改正建築基準法の影響を織り込み、通期では営業利益の見通しを減額した。

 国土交通省の調査によると、07年度の国内建設投資は公共投資の減少が続く中でも民間設備投資の好調さに支えられ、前年度比0・1%増と上向く見込みだ。来年度に東京・墨田区で新東京タワー着工が予定されるなど、首都圏では大型工事が相次いでいる。

人手不足、資材高騰…

 では、なぜゼネコン各社は減益なのか。その要因の一つが労務費の高騰だ。鹿島の秋山豪専務執行役員は決算会見の席上、減額の要因の一つとして「設備工事業者などが不足し、労務コストが想定以上に増えた」と説明、状況の深刻さをうかがわせた。その背景にあるのが職人不足。工事量が増える一方で、首都圏を中心に鉄筋工や型枠工が足りないとされる。国交省が発表した昨年の建設技能者8職種の全国不足率は1・2%と、1993年の調査開始以来最悪の水準だ。

 減益の二つ目の要因は、資材費の高騰である。世界的な資源インフレを受け、鉄筋など建築資材は高止まりしたまま。加えて、都心部を中心とした地価上昇で土地を高値落札せざるをえない状況下、デベロッパーなど発注者側は施工コストを低く抑えようと懸命だ。大手ゼネコン幹部はこう嘆く。「受注から完成まで長期間に及ぶ大型建築工事でも、その期間内の物価上昇分を価格転嫁できない」。

 三つ目の要因は、受注単価が低下していることだ。改正独占禁止法が施行された昨年1月以降、最大手が積極的に公共工事の低価格入札を仕掛け、受注競争は激しさを増している。談合による高値落札の維持こそがゼネコンの利益源だったことは動かしがたい事実。かつてはそこでの超過利潤を民間における受注競争の原資としてきた。しかし、その構図が崩れつつある今、民間工事獲得をめぐるたたき合いは壮絶さを増し、下手をすれば赤字を膨らませるだけのような状況に陥っている。

 低調な業績に追い打ちをかける可能性があるのが、今年6月に施行された改正建築基準法の影響だ。審査の厳格化を売り物にしたはずの法改正だが、逆にこれが審査の大幅な遅れを招き、新設住宅着工件数は激減した。11月30日に国交省が発表した建築確認の交付件数が回復基調にあるなど、ここに来て業界全体が落ち着きを取り戻しつつあるのは確か。だが、着工の遅れを取り戻そうと、今後、突貫工事に走ればおのずとコスト高を招いてしまう。 厳しい環境が続く業界だが、構造はいまだ談合全盛の時代を引きずっている。契約を上から下へ仲介するだけで利益を得ているような業者が依然多いのは事実。都内のある大型建築工事では、ブローカーまがいの業者も加えて11次下請けまで及んだという。複数の下請けがピラミッドを形成する重層構造が温存されたままというわけだ。

 ダンピング受注した工事では、減収分を「不当な賃金引き下げで補っている」(東京土建一般労働組合)ともされる。こうした状況が長引けば、手抜き工事が増えることも考えられる。となれば、強度不足問題が再発しかねない。

 公共工事が潤沢に発注されていた頃の構図を引きずったままでは、ゼネコン業界に明日はないだろう。

(書き手:鈴木謙太朗)

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