子ども食堂で考える、貧困対策に必要なこと 「困っている人は来てください」とは言わない
「誰でも来て安心して悩みを話せる“居場所”が大事で、それを私たちは「社会的家族機能」と呼んでいます。そのひとつが子ども食堂です。最近は子ども達と一緒にご飯を食べたいと単身高齢者の参加が増えています。「おとな食堂」も喫緊に必要なのかもしれませんよ」
自然につながりを感じられる
小学生の子どもと一緒に参加したAさんは「子どもが学校のお友達以外と関われるのがいいと思います」と言う。自宅からこども食堂の会場までは車で10~15分。市内にある別の学校の様子が分かるのもいい。
Aさんは職業訓練の受講生向けにコンサルティングの仕事をしている。自身が経済的に困っているわけではないが、ここに来ると「つながり」を感じて楽しいし元気が出る。「自分にも何かできることがあれば」と考えている。
高校生の子どもと一緒に参加したBさんは、バスで20分かけてやってきた。「小さい子と遊んだり、食事したり、奥の部屋で自由に過ごしたりできて楽しそう」とお子さんの様子を見守る。かつてお母さんが子育てに悩んだこともあるというお子さんは、今では小学生に大人気のお兄ちゃんだった。
Bさんはインクルいわてが手がけた中間的就労支援「インクルーム」で働いた経験がある。ひとり親向けの支援制度を調べて冊子を作るといった仕事は「楽しかった」と言う。
インクルいわてのスタッフで、岩手県や盛岡市で家庭相談員、婦人相談員を歴任した栃沢さんは次のように話す。
「多くのお母さんが、理解のないところで子育てをしています。どこかに相談に行くのではなく、自然に悩みを話せる場があるとすごくいい、と思います。ひとり親支援、貧困対策は、とかく『困って食べられない人に施しを』という発想になります。それは違う、と私は思います。地域が気づいてあげることが大事です」
インクルいわてのこども食堂は、山屋さん達、支援のプロの人件費を含めた運営資金を国際協力NGOのJEN(ジェン)が提供している。東北事業を統括する高橋聖子さんは、意義を次のように話す。
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