三菱自動車、「日産傘下入り」の悲しき宿命 不正がなくても単独生き残りは無理だった

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――4月の北京モーターショーの場では、三菱自動車との今後の協業については燃費不正問題の全容が解明されてから考えるとの発言があった。それが今日、資本業務提携で合意したのはなぜか。

ゴーン:5年間のアライアンスで益子会長とはオープンなコミュニケーションを交わし、トップ同士で信頼関係を築いてきた。私は三菱自動車の力を信じている。一例を挙げると、三菱自動車の東南アジア地域の業績は日産を上回っている。

日産もかつては困難な状況に陥った。だから三菱自動車の社員が抱えている不安は理解できる。日本企業が手を差し伸べ、不必要な不安を取り除くことは意義がある。

三菱グループとの関係は変わらず

三菱自動車の益子修会長(右)は、技術面での日産からの協力に期待を寄せた

――2000年代の2回のリコール隠しで経営危機に瀕した際は三菱グループの支援を受けた。今回、日産を選んだのはなぜか。

益子:日産とは信頼関係を築き、軽自動車以外の提携についても非公式に話はしていた。自動運転技術などの研究開発は、当社1社でやっていくのは難しい。タイミングは早まったが、いずれはこうなったのではないか。

今後は日産が34%の筆頭株主となるが、(三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行など)三菱グループが合計で引き続き20%台の大株主であることに変わりはない。グループから金融支援は受けないが、人的支援は受けたい。また自動車のことをよくわかっている日産からは特に技術開発部門で人的協力を仰ぎたい。

――なぜ34%の出資となったのか。出資比率が3分の1以上であれば、株主総会で経営上の重要事項である特別決議の拒否権を持つことになる。

ゴーン:今回の資本提携は三菱自動車をコントロールすることが目的ではない。一緒に手を組むというスタンスだ。三菱ブランドもそのままだ。

三菱自動車は二つの課題に直面している。一つは緊急性が高い燃費偽装の問題。もう一つは開発負担が増す中で、将来どう生き残るかという問題だ。両社が組むことでシナジーが期待できる点としては、たとえばプラットフォームの共有化が挙げられる。また電気自動車の開発も両社バラバラではなく共同で進めれば効率がよい。具体的な協業分野とシナジー効果についてはデューディリジェンス(企業価値の評価手続き)を終えた後に発表できるだろう。

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