無料通話スカイプ創業10年目の誓い(第1回) 現地取材で徹底リポート

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こうしたスカイプの強さに目を付けたのが、米国マイクロソフトだ。マイクロソフトは11年5月、スカイプを約85億ドルで買収すると発表。独占禁止法関連当局の承認を得て、同年10月に買収を完了した。マイクロソフトにとって企業買収の金額としては過去最高で、グーグルによるユーチューブ、アマゾンによるザッポスの買収を上回るなど、ネット業界でも例を見ない規模となった。

マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、週刊東洋経済11年5月28日号記事で、スカイプの魅力をこう指摘している。「現在、通信分野においてさまざまな革新が起きているが、その先行きを考えた場合、スカイプが果たす役割は非常に大きい。スカイプは通信分野ではすでに世界トップのブランドでもあり、非常に大きなユーザーベースを持っている」。

また、買収の狙いについては「今後、スカイプのユーザーベースと、「オフィス」のユーザーベースを連携させていく計画だ。さらに、(家庭用ゲーム機の)Xboxや(スマートフォンの)ウィンドウズフォンとも連携させていく。スカイプとマイクロソフトのソフトウエアが連携することにより、ビジネスにおける遠隔地での会合、しばらく会っていなかった人々の再会、家族同士の心に残るような会話など、すばらしい体験を提供できる。この分野でリーダーシップを発揮することを目指したい」と期待感を示している。

マイクロソフトの痛い経験

ただ、マイクロソフトは大型買収について直近で苦い思いをしている。12年4~6月期は07年8月に約63億ドルで買収した米国のインターネット広告会社、アクアンティブののれん代減損処理が響き、1986年の上場来初めて、四半期ベースで最終赤字を計上した。

スカイプも対岸の火事ではない。スカイプはサービスの規模で圧倒的存在感を示す一方、慢性的にマネタイズ(=収益化)で苦しんでいる会社だ。サービスは基本無料であり、収益はスカイプ以外の固定電話、携帯電話ユーザーと1分当たり2円66銭で通話する「スカイプアウト」が中心。有料の月間利用者は1000万人程度と見られ、全体の月間利用者の4%弱にとどまる。

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