ホンダ「ジェイド」がさっぱり売れない理由 このミニバンは肝心なところがズレている
最近のホンダ車は「ホンダらしくない!!」といわれることが多い。確かに今のプロダクトを見ると、「これまでに無いモノをつくる」「奇想天外な発想」と言うよりは「ライバル動向や綿密なマーケットリサーチ」から登場している製品が多い。それは商売としては考えれば正しい形なので否定はしないが、ホンダファンの多くはいつの時代も「ホンダだからやってくれるはず」と言う期待を持っている。そう言う意味では、ジェイドに乗るといい意味でも押しつけがましい(!?)「ホンダらしさ」が溢れていると思っている。
そんなジェイドがなぜ売れないのか?「スライドドアがない」「スペースが狭い」という点が自動車業界内外で指摘されるが、個人的にはそれだけではないような気がしている。ちなみに筆者は4代目オデッセイ、本記事の編集担当者は2代目ストリームのリアルユーザーである。そこで今回はそんなオーナー目線も交えて分析してみたいと思う。
なぜ「ステップワゴン」と投入時期がかぶったのか
まず1つ目は、ジェイドの登場からわずか2カ月後に「ステップワゴン」が5代目の新型車に切り替わったことだろう。そもそも「背の低いミニバン」の市場が縮小している中で登場したジェイドは、3・4代目オデッセイ&ストリームの代替え需要以外に、同様に市場がシュリンクしているステーションワゴンユーザーや「家族構成の変化で多人数乗りが必要だけど普通のミニバンは絶対嫌」と言うスポーツ系モデルのユーザーのための「最後の砦」。ミニバンユーザー以外の新たな顧客を取り込む役目も担っていた。
だからこそ、ジックリ&シッカリとユーザーへアピールする必要があったのだが、わずか1カ月後にホンダのミニバンでドル箱のステップワゴンが出てしまった結果、あっという間に隅に追いやられてしまった。
それは数字が全て物語っている。ジェイドの初速となる2015年2~3月は2000台以上を売ったが、新型ステップワゴンが発売された後の4~5月は700台弱まで低減。同時期にミニバンが同時に2台出たタイミングで、販売現場としても主力モデルとニッチモデル、どちらに力が入ったかが一目瞭然といった感じだ。品質問題のあおりをうけ、全体的にモデル投入タイミングに遅れが生じていたのも否めないが、もう少し何とかならなかったのかとも感じる。
2つ目はパワートレイン戦略のズレだ。ジェイドは登場時に1.5Lエンジン+DCT内蔵1モーター式の「スポーツハイブリッドi-DCD」のみの設定だった。しかし、登場からわずか3カ月後の5月に1.5L直噴VTECターボ搭載の「RS」が追加された。ちなみに2015年6~7月はボーナス商戦だったこともあるかもしれないが、同4~5月より増加傾向だったのはターボ効果もあるだろう。筆者はハイブリッドよりもVTECターボのほうが、クルマのキャラクターや走りのイメージ、価格設定などを考慮するとジェイドにはベストマッチだと思っている。
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