迷惑だった駅前の放置自転車が激減したワケ 郊外は駐輪場対策が奏功、残るは都心6区

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駅周辺の駐輪場整備が進展し、放置自転車は減少した(写真: CAN CAN / PIXTA)

調布市は各駅の周辺だけではなく、駅からバスに乗らなければならないような地域にもマンションや戸建ての開発が進んだ。調布市内の駅から離れ、バスでのアクセスが必要となるエリアにも住宅地が広がっているのだ。そういったところに暮らしている人たちには、バス利用ではなく自転車利用を望む人も多い。

同様の状況が、昭和の時代には多摩地域各地で生まれ、駅前の放置自転車は大きな問題になっていた。高度成長期からバブル期にかけて、住宅地は駅周辺からそれ以外へと拡大し続け、バスと自転車がそれを支えた。

「銀輪公害」という言葉があったように、あふれる自転車は社会問題になった。しかし、行政が駐輪場をつくるなどの対策を行ったため、放置自転車は減っていった。

都心に多い放置自転車

現在、放置自転車が多い地域は、むしろ都心部となっている。自転車の平均放置率(乗り入れ台数に占める放置台数の割合)は23区で7.4%、市部では1.7%、町村部では42.3%となっている。町村部は人口が少ないので除外するとして、23区の中で放置率が高いのは千代田区が64.7%、中央区53.6%、新宿区33.7%となっている。

駅前の放置自転車の約4割を占めるのは、千代田・中央・港・新宿・文京・台東といった都心の6区だ。東京都とこれら6区は2014年度に対策協議会を設置して放置自転車対策のノウハウや情報を共有し、駐輪場の稼働率向上や放置自転車の撤去強化に努めている。

放置自転車対策として、2014年度には67.6億円を投資し、都内の自転車等駐車場の建設や増改築が進められた。

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