三菱自、不正公表後に1日当たり国内受注半減 2017年3月期予想は開示できず
[東京 27日 ロイター] - 三菱自動車<7211.T>の相川哲郎社長は27日の決算会見で、燃費不正問題の公表後、1日当たりの国内受注台数が公表前に比べ半減していることを明らかにした。
同社は経営への影響が現時点では見通せないとして、通常は2016年3月期決算と同時に発表する17年3月期連結業績予想の開示を見送った。
相川社長は、燃費不正が発覚した軽自動車だけでなく、「全車種への影響が見えないと(業績の先行きは)見通せない」と述べ、いつ今期予想が開示できるか「見えていない」と語った。海外販売への影響についてはまだ情報が届いていないとし、軽自動車や自動車事業そのものからの撤退については、現時点で「全く考えていない」と強調した。
同社は燃費試験に必要な国に提出するデータを改ざんしたとして「eKワゴン」など主力の軽4車種の生産と販売を停止。同4車種を生産する水島製作所(岡山県倉敷市)のライン再開のめどは立っていない。生産停止の影響を受ける部品企業にどのような経営支援ができるかを検討するため、相川社長は「1社1社、特に水島に関わるサプライヤーを訪問し、ヒアリングしている」と話した。
不正が発覚した軽4車種のうち2車種を供給してきた日産自動車<7201.T>とのやりとりについて、相川社長は両社が顧客に対する補償など「問題の早期収束のために協議している」としたものの、「その先の話はしていない」と述べ、提携関係の先行きに関する議論にはまだ入っていないことを明らかにした。
一方、来年4月の生産開始を予定しているインドネシアでの新工場立ち上げは「計画通り進めている」という。また、サッカーJリーグの浦和レッズのスポンサーは続けるが、「スタジアムでの広告宣伝などは自粛したい」と語った。
日産自や顧客への補償金などで今後、同社の財務が圧迫される懸念が出ているが、会見に同席した田畑豊常務は、16年3月末時点で「自己資本比率が48%まで高まっており、この2―3年で財務の健全性は大幅に強化されている」と指摘。現預金は約4600億円、有利子負債も300億円以下にとどまっており、「財務体質は強い」と述べ、「今後、どの程度の影響が出てくるか状況を見ながら必要な対応を考える」と語った。
また、金融機関には現状を報告しており、必要な時には支援要請するが、「まだ実際に(支援を)お願いするかどうかはわからない」と述べた。
<益子会長の燃費目標への関与、辞任の意向を否定>
2005年1月から14年6月まで社長を務めていた益子修会長に対しては、不正が発覚した軽自動車の燃費目標を承認する社内会議に出席していたため、責任を問う声もある。相川社長は「燃費目標はプロジェクトチームが設定するものであり、社長が作ることはない」と強調し、益子会長の直接的な関与を否定した。
相川社長は益子氏の辞任の可能性に関しては「そういう話をしたことがない」と述べた。問題発覚後、同氏は公の場に姿を現していないが、不正問題の社内緊急対策チームのリーダーとして関係部門での指揮を取っているという。
社長としての自身の進退も「問題の早期収束と再発防止の道筋をつけることが当面のミッション。その先のことは本当に考える状況にない」として当面は辞任しないことを強調。社員や株主、取引先などあらゆるステークホルダーに「一刻も早く安心してもらうことに全力を尽くしたい」と語った。
*内容を追加しました。
(白木真紀)
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