M&A、対象企業の「ダメ要素」見抜く2つのツボ 「ギャンブル好き」や「前科持ち」を見抜けるか
その申し出を対象企業が受諾し、「はい、結婚を前提にお付き合いしましょう」となる場合は、「基本合意書」を双方で締結する。基本的に、この「基本合意書」には独占交渉権の内容が盛り込まれており、締結後は、対象企業は他社との買収交渉は禁じられる。「結婚を前提としたお付き合いは私とだけにしなさいよ」という意味だ。
お付き合いの後、めでたく結婚に至る場合は、M&Aの世界における「婚約」である「最終譲渡契約書」を締結する。「最終譲渡契約書」には表明保障の内容が盛り込まれるため、内容に反したことがあれば損害賠償請求に発展する可能性がある。結婚においても、婚約破棄は契約不履行として損害賠償請求されることがあるが、同じようにとらえれば理解しやすい。
そして、諸準備を済ませ、婚姻届を出して、法的にも夫婦になった状態を、M&Aでは「クロージング」と呼び、その日は「DAY1」と呼ばれる。要は、新婚生活1日目である。
デューデリジェンスは結婚相手の「見極め作業」
この「ディール実行」のフェーズで重要なのは、デューデリジェンスという業務だ。デューデリジェンスは、「買収監査」と訳されることもあるが、これがM&A業務の経験がない方にとって、イメージが湧きにくく、分かりにくいらしい。M&Aに関して、筆者がこれまでに最も多く受けた質問も、「デューデリジェンスって何をするのですか?」という内容だ。
そんな方はぜひ覚えてほしいのだが、デューデリジェンスとは、簡単に言ってしまえば「結婚相手として本当に相応しいかの見極め作業」だ。婚活においても、結婚を前提にしたお付き合いの了承が得られたからと言って、翌日すぐに結婚するということはまれだろう。
結婚を前提にしたお付き合い期間中に、「見極め」をするはずであり、M&Aではその見極め作業を「デューデリジェンス」と呼んでいる。デューデリジェンスは、結婚を前提としたお付き合いの開始後、つまり、「基本合意書」締結後に行われるケースが多い。
また、デューデリジェンスには見極めの対象によって種類があるのだが、今回は「ファイナンシャルデューデリジェンス(FDD)」と「リーガルデューデリジェンス(LDD)」に触れる。
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