JR東西の競争意識が「豪華列車」を進化させた 御料車からクルーズトレインまでを振り返る
この「トワイライトエクスプレス」の評判を踏まえ、JR東日本が誕生させたのが究極の豪華列車とまで言われた寝台特急「カシオペア」であり、「北斗星」の補完的役割を果たす季節列車として運転された。
「カシオペア」は、これまでのブルートレインの概念を打ち破る斬新なシルバーメタリックのデザインと、展望客室を備えた客車、寝台もツインを中心にしたコンバートメントという、ぜいたくなつくりでデビュー。特にカシオペアのウリのひとつである食堂車は、客席がダブルデッカーの階上にあるという展望重視の構造になり、豪華フランス料理のコースが楽しめた。
こうして豪華列車の東西対決は華やかな鉄路のショーといった様相を見せたが、その時代の陰でかつて栄華を誇った「はやぶさ」「富士」をはじめとする九州方面のブルートレインは、平成21年(2009)3月までにひっそりと姿を消して行ったのである。
ブルトレからクルーズ列車へ
鉄道の一時代を支えてきたブルートレインも、全国に伸びる新幹線網と航空路の整備により、次第に活躍の場は狭まって各地から姿を消していった。上野-青森を結んでいた「あけぼの」が廃止される際は、鉄道ファンだけでなく携帯電話を片手に撮影に訪れる人たちも上野駅に押しかけるようになり、「さよなら列車」フィーバーは社会現象的な色合いを強くした。
豪華列車の歴史も「カシオペア」が最後かと思っていたところ、JR九州ではさらに豪華なクルージング列車「ななつ星in九州」を走らせ始めた。この列車はこれまでの「北斗星」「トワイライトエクスプレス」「カシオペア」などとは異なり、目的地へ向けた移動ではなく九州内を周遊するものである。その移動範囲に比べて乗車料金は破格の高額に設定にされた。料金も豪華さのうちといえる。
この「ななつ星in九州」から我が国の豪華列車はさらに進化を遂げ、現在JR東日本では「TRAIN SUITE 四季島」、JR西日本では「トワイライトエクスプレス瑞風」と、各社が豪華列車を新造中で、来年春には登場の予定だ。さらに進化する豪華列車は、乗客を満足させられる素晴らしいサービスを提供できるか、楽しみなところである。
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