ユニクロの次はここ?アダストリアの快進撃 複数ブランドでグローバル展開へ

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そこで、「自ら川上も川下も手掛け、垂直統合に挑戦していく」というチェンジ宣言の下、次々と買収を実行。2013年に買収した「トリニティアーツ」は、アダストリアになかった生活雑貨とアパレルを融合したライフスタイル型の提案を得意としており、ファッションの幅が広がった。また取引商社の一つで生産機能を持っていた「ナチュラルナイン」も取り込んだ。さらには2015年秋に、商品企画・製造機能を小売り機能と一体化。福田会長は「これらで垂直統合の姿が完成した。企画、生産、販売に至るまで、できるようになった」と胸を張る。その効果が今回一気に業績に反映された形である。

ファーストリテイリング幹部も務めた松下正・取締役兼最高執行責任者(COO)は、急回復の要因として、「商品企画、モノづくりと販売現場の距離が近くなったことで、情報交換が密になり、商品力が向上した」と強調する。

決算会見で福田会長(写真左)は「マルチブランドでファッションをやりたい」と語った

松下氏は「ブランド特性に合わせた仕入れ戦略が奏功した」とも言及。比較的ベーシックなアイテムが多いブランドについては自社生産する一方、変化の早いトレンドを着実にキャッチするブランドは商社からの軌道的な仕入れを行っている。あわせて、商品の当たり外れや天候の動きを見て、きめ細かい売価コントロールを実施。さらにサイトを刷新したネットでの販促も強化し、ネットの売上高構成比は全体の11.5%まで向上している。

グローバルブランドを目指す

今後は「グローバルワーク」と「ニコアンド」を軸に、グローバルブランドになることを目指す。福田会長はそのキーワードとして、「ファッションSPAカンパニーとなる」と何度も語った。SPAやグローバルと聞くと、ユニクロを想起させるが、福田会長はそれを明確に否定する。

「『ユニクロ』とは何が違うのかとよく聞かれる。柳井さんは否定するかもしれないが、われわれはマルチブランドでファッションをやりたい、ということだ」と強調。先日は中国・上海で、取引先80社を集めた工場カンファレンスを実施した。ものづくりのスピード、品質、コストを追求したSPA体制を早期に構築するため、取引先に協力を求めたという。

最近不調の「ユニクロ」を尻目に、アダストリアは、カジュアルファッション業界を新たに牽引することができるか。真価が今期問われそうだ。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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