スクープ!クックパッド、社内大混乱の真相 実質「更迭」された前社長を社員の7割が支持

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新体制で、岩田社長はクックパッドの主力である会員事業や広告事業を統括。佐野氏は海外事業やヘルスケア事業など、それぞれが約10の事業を率いている。

創業者・佐野陽光氏が招いた混乱はどのように決着するのだろうか(撮影:引地信彦)

一方で、穐田氏に割り振られたのは「国内関連会社」のたった一つだけ。「仕事を奪われて、『追い出し部屋』に追いやられているのと同じ。この数年の業績を伸ばしてきた立役者に対して、あまりにもひどい仕打ちだ」(社員)。

社員にも動揺が広がっている。株主総会と新体制を決めた取締役会が開かれた翌日の25日、朝の10時半に社員集会が開かれた。

佐野氏、岩田氏、穐田氏の3人が順番にあいさつをした。佐野氏は株主の信任を得たと説明し、穐田氏は一連の騒動について謝罪したが、集まった社員から拍手が起きたのは穐田氏が話した時だけだったという。

財務や広告を管掌していた執行役が退任したほか、事業部長級にも突然の異動が通告されるなど、実務にも混乱が生じ始めている状況のようだ。

社員の7割が前社長の復帰を熱望

社内では、穐田氏の代表執行役復帰を求める署名活動も始まっている。クックパッドの国内の正社員は約240人。すでに7割強が賛同して署名を行ったという。近く開かれる見通しの取締役会に署名を提出するなどして、最終的には取締役を動かし、佐野氏の執行役解任につなげようとする動きだ。

株主総会に出席した60代の男性株主は、会場を後にする際に、経営の混乱についていらだった様子で感想を述べた。「もう個人商店じゃないんだからさ、東証1部上場の会社なんだから。こんなことが続いては、急成長していた業績が急降下しかねない。いい加減にしてほしいよ」。

はたして、今後も企業活動を今まで通りに続けられるのか。佐野氏の新体制に社員の大多数が背を向けるのであれば、それすら危ぶまれる状況だ。

仮に、穐田氏が会社を去る事態となれば、人材の大規模な流出は避けられないだろう。クックパッドが自ら陥った経営危機は、想定を超えて深刻な状況に発展する可能性がある。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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