公募価格割れIPO銘柄は、下値を拾う好機だ 「1ドル115円台回復」が4月の焦点に

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円高による業績へのネガティブインパクトが懸念されているからか、大型株が冴えない日本株。新年度はどんな展開になるか(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

今から29年前の3月30日、昭和のバブル経済を象徴する出来事があったのを覚えておられるだろうか。国内火災保険会社がゴッホの絵画「ひまわり」を58億円で落札したのだ。オークション手数料や保険料などで5億円掛かり、その取得費用も大きな話題となった。

2016年に話を戻そう。3月22日、日本取引所が第2次中期経営計画(2016~18年度)を発表した。そのなかで新規株式公開(IPO)社数の年間目標を「従来の80社程度から100社程度」へ引き上げた。IPO社数の推移は米金融危機後となる2009年の19社から2015年に89社(TOKYO PRO Market含む、REIT除く)へ6年連続増加している。2016年もすでに21社(3月24日時点)と、公開ラッシュが続いている。

しかし、足元では上場初値が公募価格を下回るケースが目立つ。2015年の公募価格割れが年間で8社だったのに対し、2016年は3カ月足らずで6社に達する。今年は3.5社に1社が公募価格割れしている。1つ目の要因は年初からの日本株の弱含み。個人の投資余力が低下するなか、選別物色の眼が厳しくなっている。2つ目の要因はIPO社数の月間ペース。2016年2月の1社から3月は22社へ急増したことに伴い、人気が分散して初値の勢いも限定的にとどまっている。結果的に市場参加者の慎重姿勢がIPOの公募価格割れに表れている。

29日は権利落ち分を加味すれば実質プラス

ただ、4月のIPO社数は5社に減少する予定。さらにゴールデンウィーク(大型連休)を挟むIPO空白期間が1カ月ほど続く。いったんセカンダリー市場の需給が引き締まるなかで、この時期に比較的割安感のある初値をつけた直近公開銘柄が見直し買いされることも少なくない。足元はIPO市場は種まきの時期ともいえ、上場後の下値を拾う好機と思われる。

3月29日の日経平均株価は1万7103円と、前日比30円安の反落となった。ただ、権利落ち分の128円(市場推計)を加味すれば、実質は前日比プラスといえる。政策期待などが根強く、押し目買いが入って下げ渋った。需給面では配当分の再投資、3月期末のドレッシング(お化粧)買い、機関投資家によるポートフォリオの見直し買い等が下支え要因となっているもよう。

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